2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760420
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
野中 嗣子 大分大学, 工学部, 助手 (50274741)
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Keywords | 建築構造・材料 / 国際貢献 / 自然災害 / 耐震 / 防災 |
Research Abstract |
本研究では途上国における安全な住環境づくりのため、耐震的な組積造壁体の開発および既存組積造壁体の有効な耐震補強法の開発を行うことを目的としている。2009年度にインドネシアで発生した二つの地震(ジャワ島西部地震とスマトラ島西部地震)、2010年に入り発生したハイチ地震などにおいては、組積造住宅の倒壊により甚大な人的被害をもたらす大災害となっている。これより、既存建物の耐震化が将来の地震災害の軽減のために急務であると考えられる。このため本年度は、既存組積造壁体の耐震補強の具体的な方法の提案にむけて検討を行った。 まず、組積造壁体の耐震補強法に関する既往の研究成果の収集と分析を行った上で、ポリマーセメントモルタル(PCM)を用いた新たな耐震補強法について検討することとした。次いで、煉瓦を用いた組積造壁体試験体3体および空洞ブロックを用いた試験体2体を設計・製作し、PCMによる耐震補強を施した。実験は、空洞ブロックを用い試験体のものを先行することとし、年度内に実施した。得られた結果を以下にまとめて示す。 1.PCMにより壁体を増厚することにより、せん断強度、変形性能の両方に関して顕著な補強効果が得られた。 2.PCM補強された補強ブロック造壁体のせん断終局強度の実験値は、補強ブロック造壁体とPCM壁体それぞれのせん断強度の計算値を単純累加することにより概ね評価できた。 なお、製作を行った煉瓦組積造試験体3体の実験は、次年度に実施する予定である。
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