2010 Fiscal Year Annual Research Report
新設鉄筋コンクリート建物における短柱の構造性能および設計適合性に関する研究
Project/Area Number |
22760422
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 孝也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50305421)
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Keywords | 鉄筋コンクリート建物 / 短柱 / 主筋比 / せん断破壊 / 崩壊 / せん断補強筋比 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート構造の設計においてせん断破壊型柱は,軸力保持能力を喪失して崩壊する恐れがあることから避けられているのが現状である。しかし,筆者らの過去の実験^<1),2)>により,せん断破壊型柱の崩壊性状は鉄筋量に大きく左右され,特に主筋量が大きいほど崩壊変形が大きくなることが明らかになった。つまり鉄筋量が多い柱であれば設計で許容してせん断破壊型柱の高い耐力を生かす方策も考えられる。ただし,過去の実験は旧基準建物を対象としたせん断補強筋が少ない柱を主な対象としており,新設の建物で使用されるようなせん断補強筋が多い柱の実験例は極めて少ない。そこで本研究では,せん断破壊が生じやすい短柱を対象として,比較的せん断補強筋が多い場合の崩壊までの大変形領域を含む実験を行い,主筋量が柱の構造性能に及ぼす影響を検討した。 試験体は計3体である。なお,3つの試験体は主筋の径が異なるのみで,配筋は同様である。試験体はすべてせん断破壊するように設計した。共通因子は以下の通りである。柱断面寸法(b×D)を450×450mm,内法高さ(h_o)を900mmとし,すべてクリアスパン比(h_o/D)が2.0の短柱とした。せん断補強筋比P_wは0.53%とした。コンクリート強度は25.0N/mm^2であった。鉄筋の規格はすべてSD345とした。軸力は軸力比0.18の一定軸力とした。 本研究の範囲内で得られた知見を以下に示す。 せん断破壊した柱では,主筋比が大きいほうが最大耐力,崩壊水平変形ともに大きくなった。主筋比が十分に大きければ,設計でせん断破壊型柱を許容できる可能性があるといえる。
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