2010 Fiscal Year Annual Research Report
破壊力学を用いた繊維直交方向荷重を受ける複数本のボルト接合部の耐力推定手法の開発
Project/Area Number |
22760425
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
神戸 渡 東京理科大学, 工学部・建築学科, 嘱託助教 (90453000)
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Keywords | 木質構造 / ボルト接合 / 集成材 / 破壊力学 / 割裂耐力 |
Research Abstract |
今年度は,カラマツとスギを用い、2列にボルトを配した接合部における繊維直交方向荷重を受ける実験および有限要素解析を行うためのモデル化手法の開発に関する検討を行った。 ここで設定したパラメータは、ボルトとボルトの相互距離と端距離である。端距離が4dのものでは相互距離が3d、10dのものを行い、端距離が7dのものでは相互距離が3d、7d、10d、14dのものを行い、端距離が10dのものでは相互距離が3d、10dのものを行った。ボルト径はM16の一通りとし、縁距離は木質構造設計規準の規定を満たすものとして、75mmとした。各パラメータで試験体数は3体とした。 実験は加力速度が0.5mm/min.の単調載荷とし、試験体の上部で木材の割裂を確認するために、下部は合板で補剛した。そして、ボルト孔周辺部を市販のビデオカメラで観察し、そのき裂の挙動を確認した。 実験の結果、き裂の進展挙動は3つに分類された。 1.脆性的な破壊:き裂の発生が確認できない、もしくはき裂発生後、進展がみられず破断したもの。 2.延性的な破壊:観察箇所の半分以上で、き裂が発生したのち、進展が確認できたもの。 3.ほぼ脆性的な破壊:き裂が進展した箇所が、観察箇所の半分未満であったもの。 以上である。これらに対して、木質構造設計規準におけるEYT式で耐力を推定した結果、ほとんどの試験体で実験時の耐力が下回るという結果であった。これは、試験体の多くで脆性的な破壊が多くみられており、このような破壊性状は木質構造設計規準で考慮していないことが理由として挙げられる。 この実験と並行し、木材の有限要素解析の手法に関する検討を行い、その破壊靭性値の算出方法に関して、いくつかの設定方法を考えた。今後は、それらを実験結果に適用する予定である。
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Research Products
(2 results)