2011 Fiscal Year Annual Research Report
免震部材と地震動の多様性を考慮した免震建物の応答構造と設計用地震荷重に関する研究
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22760426
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小林 正人 明治大学, 理工学部, 准教授 (50373022)
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Keywords | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 免震 / 地震荷重 / せん断力係数 / 免震係数 / 非線形係数 / モーダルアナリシス |
Research Abstract |
平成23年度は,免震デバイス(バイリニア型の履歴系ダンパーおよび流体系ダンパー)と上部構造の構造特性を相対的に評価し得る指標の策定を行い,これと地震応答分布との関係を定量化した。また,免震建物の地震荷重分布の応答構造を把握するために,免震構造の特徴である剛体モードと上部構造の応答を支配する高次モードの影響度を地震応答解析(非線形モーダルアナリシス)によって分析し,地震応答増幅と高次モード応答の関係を分析した。得られた主な研究成果は次のとおりである。 1)バイリニア型履歴系ダンパーを対象として,免震係数と等価粘性減衰定数(非線形係数)を用いたせん断力係数分布の増幅率算定式および変動係数を考慮したばらつき補正値を提案した。 2)流体系ダンパーに対しては,線形,非線形のダンパーモデルを設定した時刻歴応答解析を行い,これと履歴系ダンパーに対して定式化した増幅率算定式との比較を行い,よい対応を示すことを確認した。 3)履歴系および流体系のダンパーを併用した場合に対しては,それぞれのダンパーに対する増幅率を算定して応答増幅を評価する方法を考案し,これによって地震応答を精度よく再現できることを確認した。 4)せん断力係数分布に対する高次モード応答の影響度を,両端自由振動モードによる非線形モーダルアナリシスにより分析し,せん断力係数分布の増幅およびばらつきが高次モード応答に起因していることを定量的に示した。 5)構造特性の各種変動因子(建物層数,免震層の周期,入力地震動)による影響評価ならびに実建物を想定した解析モデルにより,提案式の適用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度交付申請書に記載した二つの目的(1.免震構造の剛体モードと高次モードの影響分析,2.地震応答増幅を定量化した設計用せん断力係数分布の提案)に対しては,当初の予定どおり順調に解析が実行され,それぞれ具体的な形で分析の成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的である免震建物の新たな設計用地震荷重算定式は,その骨格はできあがりつつある。今後は,より具体的に,設計対象となる建物,多様な免震デバイスに対しての適用性を検証し,必要に応じて提案式の修正を行う。特に,各種免震デバイスは併用されることが一般的であるため,様々な組合わせに対する検討が不可欠となる。また,一方で設計式としての簡便性も兼ね備えておく必要があるため,提案式の簡略化も併せて検討を行う方針である。
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