2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760430
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡崎 太一郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20414964)
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Keywords | 鋼構造 / 接合部 / 接着剤 |
Research Abstract |
現状で構造用接着剤は建築鋼構造に全くといってよいほど利用されないが、工程を低減でき、現場で機械器具を要せず、寸法誤差に寛容であり得るなど、接着剤の利便性は建築鋼構造においても大いに期待できる。そこで、構造用接着剤を建築鋼構造に適用する可能性を明らかにし、構造用接着剤の研究開発を促すことを目的として、研究活動を展開している。耐火性能や耐久性なども重要な検討事項であるが、本研究では対象外とし、構造特性のみに注目する。今年度は、接着剤業者にヒアリングし、文献調査を実施し、建築鋼構造に適した接着剤製品を絞り込んだ。また、構造用接着剤の力学的性能を把握するための材料試験方法を比較検討した結果、最も適した試験方法として、二面せん断試験の実施要領をまとめた。この材料試験を北海道大学で実施するための機材を揃え、来年度に実験を実施する準備を整えた。一方で、構造用接着剤を実地に適用する例として、組立柱材を選定し、その試設計を行った。溶接を使用せずに、鋼板をボルトと接着剤で組み合わせることで柱部材を加工し、その柱部材を周辺部材に接合するという、新規鋼構造を開発する一環として考案したものである。ボルトのみで柱を製作する技術はある程度確立されたが、ボルトとボルトの間の部分に大きな圧縮応力が作用すると、接合された鋼板が互いに分離する現象が、問題点として指摘されている。この現象が懸念される箇所に構造用接着剤を加えることで、組立柱材の性能をより効率よく確保できるものと考えている。
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