2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760430
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡崎 太一郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20414964)
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Keywords | 鋼構造 / 接合部 / 接着剤 / 二面せん断接合 |
Research Abstract |
現状では、構造用接着剤は建築鋼構造に全くといってよいほど利用されないが、工程を低減でき、現場で機械器具を要せず、寸法誤差に寛容であり得るなど、接着剤の利便性は建築鋼構造においても大いに期待できる。そこで本研究は、構造用接着剤を建築鋼構造に適用する可能性を明らかにするために、文献調査と基礎的な実験を実行した。二面せん断継手を鋼構造の接着接合の基本形態と考え、接着剤種と継手長さ(接着剤の付着長さ)を主パラメータとした一連の引張載荷実験を実行した。建築構造を反映する寸法の供試体を合計65体製作し、各試験体の破断力や破断形態などに関する情報をまとめた。一般に接着剤には、付着長さが長いほどせん断接着強さが小さくなる性質がある。しかし本実験で使用した2種の接着剤のうちの一方では、継手長さを十分に確保することで、鋼材の降伏強度を上まわる二面せん断継手を実現した。この接着剤を使用した50体のうち3体の試験体が、残り47体と比較して25%ほど低いせん断接着強さを示した。接着剤の破壊形態は凝集破壊と界面破壊に大別できるが、せん断接着強さが低かった3体では凝集破壊より界面破壊が卓越し、残り47体では凝集破壊が卓越した。もう一方の接着剤は、付着長さに比例してせん断接着強さが小さく、完全に界面破壊に支配された。このような観察結果から、強度のばらつきは破壊形態と関連すると推察できる。先の3体を除くと、接着強度のばらつきは、変動係数にして8%以下であった。
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