Research Abstract |
環境配慮型CVSの開発である研究目的を達成するため,現状・実測調査及びアンケート調査による現状把握を行った.温湿度測定と電力測定等を実施し,これまでに明らかにされていないエネルギー消費特性(動力系統と電灯系統)に関して,札幌市内の既存店舗を対象に,各パラメータの違いによる負荷パターン・内訳を分析し,必要機能及び一般機能における機器別負荷比率を示した.必要機能とは,CVSの運営上,安全な商品管理に必要な設備『冷蔵・冷凍,加温・調理,冷設照明・ファン,店舗管理,レジ販売』であり,一般機能とは,それ以外の設備『空調,照明,サービス,動力その他,電灯その他』である.日平均電力消費量が多かった2010年2月と8月では570[kWh/day]前後(動力系:6割,電灯系:4割)で一致していた.しかし,『冷凍・冷蔵,空調』の負荷比率は互いに変化し,2010年2月に一般機能が必要機能を上回る傾向を示した.一方,日平均電力消費量が少なかった2010年5月では『冷凍・冷蔵,空調』の負荷比率が互いに減少し,電灯系が動力系を上回る傾向を示した. 他にも原単位を提示し,学術的・経営的・政策的な基礎資料として活用できるように整理した.ただし,各店舗の売上げも影響するため,データセンターで用いられるPUEを応用し,「PUE-C=CVS全体の電力消費量/CVS内の必要機能の電力消費量」を新たに定義した.PUE-Cが1に近いほど,CVS内の一般機能(主に空調,照明)の電力消費量が少なく,エネルギー効率の良いCVSを意味する.機器別負荷比率を用いて各PUE-Cを算出した結果,動力系PUE-Cは一般機能の『空調』の大小に左右され,2010年2月と3月では2以上になった.全体PUE-Cも同様に対応しながら変動していたのに対し,電灯系PUE-Cは年間を通じて比較的安定し,常時2~2.5の範囲で推移していた.
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