2010 Fiscal Year Annual Research Report
建築壁体の凍結融解挙動と水分移動特性の相互作用に関する基礎的研究
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22760435
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 嘉彦 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30435987)
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Keywords | 凍結融解 / γ線 / 含氷率 / 過冷却 / 劣化予測 / 相互作用 / 空隙径分布 / 移動係数 |
Research Abstract |
本研究は,力学的作用と材料内の熱水分移動,特に液水移動を同時に考慮した建築壁体の耐久性予測手法開発の一環として,まずは測定が容易なALCを対象に材料内部の凍結融解挙動およびそれに伴う破壊・損傷と水分特性(含水率分布,平衡含水率曲線,水分移動係数)の相互作用を明らかにし,その相互作用を考慮可能な解析手法を確立することを目的とする。 平成22年度の成果を以下に示す。 γ線照射装置を利用した非破壊的な含氷率測定方法について,試料に用いたALCの空隙構造の測定結果に基づき検討した。試料に用いたALCは,一般的な既製品と同様に発泡剤を配合したものと,発泡剤を配合しないものの2種類を用意した。試料の含水状態は含水率勾配による水分移動が生じない飽水状態とした。これらの試験体を用い,試験体の下面から冷却する凍結実験の結果,過冷却解消による材料表面ひずみおよび温度の変化とγ線透過量の変化に良い対応が見られた。また熱力学的平衡理論に基づき,水銀圧入法による空隙径分布の測定結果より算出される含氷率とγ線の透過量変化より算出される含氷率を比較すると,発泡剤の有無によらず,含氷率分布の変化性状は概ね一致した。また,常気圧下での透水係数測定装置を提案し,試料を測定可能な恒温恒湿環境を作製した。今後,劣化促進試験を実施し,劣化の経時変化と移動係数の変化を測定可能な環境を得た。さらに,三相系熱水分同時移動方程式に基づく解析モデルを作成し,過去に行ったRILEM CIF試験の再現する数値計算を行った。その結果,表面剥離現象に関して含氷率分布の計算結果から現象を説明できることを示した。 以上のように,本研究は,多孔質材料の新たな含氷率測定方法として,非破壊・連続測定可能な手法であるγ線照射装置の有用性を示した。また次年度に行う移動係数の測定環境および劣化予測解析モデルの基礎的部分の構築を完了した。
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Research Products
(1 results)