2010 Fiscal Year Annual Research Report
時間領域有限差分法を用いた異方性粘弾性体の振動音響連成解析に関する研究
Project/Area Number |
22760440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊田 政弘 京都大学, 次世代開拓研究ユニット, 特定助教 (30504716)
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Keywords | FDTD法 / 異方性媒質 / 振動音響連成 / 安定条件 / 剛性マトリクス |
Research Abstract |
木材や積層板などの異方性材料も視野に入れた床衝撃音予測手法を提案し、その有用性を検証するための基礎的検討として、本年度は直交異方性FDTD解析の基礎式の導出、安定条件の提示、及び木片や舞台床構造を使用した実測値と計算値との比較による基礎式の妥当性確認を行った。また、その手法を広く利用できるようにするための汎用的なGraphical User Interface(GUI)ソフトウェアの開発を行った。基礎式の導出においては剛性マトリクスと粘性マトリクスの算出において異方性を考慮した定式化を行い、それらを踏まえた固有値解析により安定条件を導いた。GUIソフトウェアの開発においては、異方性を決定付ける工学的パラメータであるヤング率、剪断弾性係数、ポアソン比、摩擦係数、粘性係数を入力することにより、剛性マトリクス、粘性マトリクス及び安定な解を得るための時間離散化幅の算出を自動で行うアルゴリズムを実装した。これらの理論導入や計算結果の検討により、無垢の木材単体であれば、その振動性状及び放射音を予測できる可能性が示唆され、研究者でなくともその利益を享受できる予測システムを提案した。しかしながら一方で、木材を用いた複雑な構成に関しては、施工方法や個体差などにより不確定な要素も多くなるため、予測結果が実測結果と異なる領域が存在することも示唆された。木材を使用した床構造を対象とする床衝撃音の予測手法は数値的手法としては確立できたものの、木材単体の異方性考慮のみでは十分な精度の確保が難しいことが示唆された。今後の課題として、施工方法や個体差などまで含めて概算された材料パラメータを用いることで実用的な上記手法の利用方法が提案できるものと思われる。
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Research Products
(3 results)