2011 Fiscal Year Annual Research Report
時間領域有限差分法を用いた異方性粘弾性体の振動音響連成解析に関する研究
Project/Area Number |
22760440
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
豊田 政弘 関西大学, 環境都市工学部, 助教 (30504716)
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Keywords | 音・振動音響 / 床衝撃音 / 時間領域有限差分法 / 異方性 / 不均質媒質 / 木材 / GPU |
Research Abstract |
本研究は集合住宅における騒音トラブルのひとつである重量床衝撃音を主な対象とし、設計段階において子供の飛び跳ねなどによる上階から下階への放射騒音を予測および評価するための手法を構築することを目的としている。この種の騒音は振動の伝搬経路が複雑であり、精緻な解析が困難であるため、これまでは実際の構造から大幅なモデル化を行い、大まかな予測値のみを検討していたが、近年の計算機性能の発展により、モデル化を行わず実際の構造をそのまま解析できる可能性が示唆されるようになってきた。そこで、研究代表者はこのような複雑構造の解析のために時間領域有限差分法(Finite-Difference Time-Domain法, FDTD法)に着目し、基本的な知見として実物大の鉄筋コンクリート造構造の建物を対象とした床衝撃騒音の実測結果と予測結果の比較から、FDTD法により高い精度で床衝撃騒音が予測できることを示した。当該年度における研究では、本手法の更なる発展形として、建築部材として多く用いられる木材などの異方性材料や不均質な材料にも対応が可能な理論を構築し、汎用GUIソフトウェアへの実装も含めた手法の提案を行った。異方性材料や不均質材料にも対応し、汎用GUIソフトウェアを開発したことで、専門家でなくとも床衝撃騒音の精緻な予測が可能となった。また、計算負荷が莫大となるため対応が困難であった薄い材料についても、不等間隔に離散化を行うことで、予測精度を確保しつつ負荷が低減できる手法を提案した。また、計算にはGPU(Graphic Processing Unit)を利用し、小規模な建物であれば実用に耐えうる計算時間で予測が可能であることを示した。本研究の成果により床衝撃騒音の精緻な予測のための基礎を固めることができたと言える。
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Research Products
(8 results)