2011 Fiscal Year Annual Research Report
人間の覚醒状態を媒介とするIEQと作業効率の因果構造に関する検討
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22760442
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
後藤 伴延 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (20386907)
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Keywords | 環境心理生理 / 知的生産性 / 覚醒 |
Research Abstract |
22年度は,「IEQ→覚醒状態→作業効率」という一連の因果関係を系統的に明らかにするため,「IEQ→覚醒状態」と「覚醒状態→作業効率」の二段階に分けて実験を行った。23年度は,引き続き「IEQ→覚醒状態」に関する実験を行うとともに,前年度実施した「覚醒状態→作業効率」に関する実験の結果の分析を進めた。 「IEQ→覚醒状態」に関する実験については,前年度と同様に室温・換気量・照度が調節可能な実験室において,計6ケースの環境条件を設定し,被験者の覚醒状態を調査する実験を実施した。ただし,22年度の被験者が12名であったの対して,23年度は被験者を24名に増やした。実験中,被験者には主として学習用の映像講義を視聴させ,覚醒状態をアンケートと皮膚コンダクタンス(SC)計測によって評価した。アンケートでは,覚醒状態を「エネルギー覚醒(EA)」と「緊張覚醒(TA)」の二軸で評価した。その結果,室温22℃では28℃に比べて有意にEAが高くなり,28℃・低換気量・低照度の複合条件では基準ケース(25℃・30m3/h/人・300lx)に比べてTAが有意に高くなることが明らかになった。また,SCの測定結果は,EAの結果との良い対応がみられた。さらに23年度は,新規に室温を変動させた条件での実験も実施したが,45分周期で室温を変動させた条件で,室温を一定に保った条件よりもEAが高くなる傾向がみられた。 一方,「覚醒状態→作業効率」に関する実験結果の分析を進めた結果,EA・TAともに作業効率に有意に影響を与え,EAが高くなるほど作業効率が上昇し,TAが高くなるほど作業効率が低下することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「IEQ→覚醒」に関する被験者実験で,定常環境条件の実験に当初予定していたより多くの時間を要したため,非定常環境条件の実験が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
「IEQ→覚醒状態→作業効率」という一連の因果関係を総合的に検証するための被験者実験を行う。なお,この際の環境条件については,「IEQ→覚醒」に関する実験で比較的明確な結果が得られている定常環境条件を主とし,定常環境条件下での因果関係の検証を優先する。
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