2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際交流を背景とした中東都市計画史研究と都市保全プロジェクトへの還元
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22760450
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 康介 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教 (00548084)
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Keywords | 中東・北アフリカ / 都市計画 / 番匠谷堯二 / JICA / 国際交流 / ダマスカス / アレッポ / ベイルート |
Research Abstract |
本研究は、(1)文献解析に基づく歴史研究(22年度)と、(2)実測・ヒアリング等のフィールドワーク(23年度)の2つの方法を段階的に組み合わせて実施する計画である。更に、複数の国際会議・調査の実施と、JICAプロジェクトへの成果の還元を試みる。 初年度である本年度は、(1)の歴史研究を実施した。いくつかの重要な文献を入手したが、番匠谷尭二のアレッポ計画において、ムスリム同胞団とバアス党政権との抗争の結果、旧市街に対する破壊的な内容が反映されたことを示唆するJ-C.David(1986・仏語文献)、世界遺産登録に際してアレッポ計画の問題点がいかに議論されたかを近年に回想し報告したA.Qudsi(2007・英語文献)、自身によるダマスカス計画について、技術者組合の総会で述べたM.Ecochard(1982)等の重要文献を入手、解読した。また、ダマスカスのフランス研究センター(IFPO)において多年代の地図資料を入手し、独自の地図システムの構築を進めた。 また、現地における、関係者の証言や意見を反映することを目的に、数回に渡る国際会議を実施した。なかでも、12月9-10日、筑波大学世界遺産専攻(代表:日高健一郎教授)と共同開催した、アレッポ大学建築学部及び学術交流日本センターとの会議では、有意義な意見交換がなされ、現地アル=ジュマーヒイル紙に報道された。また、3月3-14日、筑波大学藤川昌樹教授との共同調査では、ベイルート中東研究日本センター、アレッポ大学学術交流日本センター、JICAダマスカス県庁事務所等で、関係各位との意見交換・情報収集を実施した。 更に、代表者が「歴史建造物保護」の専門家として参加しているJICAの技術プロジェクト「ダマスカス首都圏都市計画・管理能力向上プロジェクト」では、研究と実務の関係や社会還元の難しさを考えさせられながらも、ファサード及び街路整備事業において、「公私の分離」や「建築デザイン言語」といった視点から貢献を試みた。
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