2010 Fiscal Year Annual Research Report
小学校における教育力の展開に対応した教員スペース計画に関する研究
Project/Area Number |
22760451
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 麻衣子 東京工業大学, 教育環境創造研究センター, 助教 (90361790)
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Keywords | 小学校 / 教員 / 空間計画 / 施設計画 / 執務行為 / 空間利用 |
Research Abstract |
公立小学校施設において、教員の能力発揮を促す就業環境の充足といった観点からの計画・整備は、これまで長年看過され、全国一律に職員室・校長室を中心とした整備にとどまっていることに着目し、本研究では学校施設における教員空間計画指針の提示を目的とする。研究計画として、初年度は全国アンケート調査の実施、次年度以降はその結果から抽出されたモデル校の現地調査を行うことに即して、今年度は全国の各都道府県から無作為抽出した1000校を対象にアンケート調査を実施し、その結果をとりまとめた。また追加調査として、熊本県水上村・岩手県大館市において両地域とも小学校2校の現地調査を行い、学校長に対するヒアリング調査、及び施設見学を実施した。 研究内容として、まず教職員の空間利用の実態把握として、立場別の一日の滞在場所・時間、及び立場と執務行為の組合せ33項目における利用空間の特徴を明らかにした。そして、従来教職員全体の拠点空間とされてきた職員室について現在の整備状況を捉え、学校長が考える職員室に残すべき・分離させるべき機能を対応させることにより、空間機能を再整理し施設全体の計画課題を明らかにした。 その具体的な成果として、教職員の立場により空間利用内容に固有の特徴が捉えられた。また、従来の拠点空間である職員室についても、各立場によって利用の位置づけが大きく異なることが求められた。中でも担任個人の執務空間について、職員室と普通教室との関係性の再考が必要であり、またそれらの空間以外で担任個人の利用展開がみられる他諸室の機能・役割についても整理・検討が重要であることが見出された。さらに、施設全体における整備課題として、休養空間の新たな形態の追究が必要であり、また一般教員の利用を中心とした共同作業空間の充実化が重要であることが明らかとなった。(764字)
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