2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校における教育力の展開に対応した教員スペース計画に関する研究
Project/Area Number |
22760451
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 麻衣子 東京工業大学, 教育環境創造研究センター, 助教 (90361790)
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Keywords | 小学校 / 教員 / 空間計画 / 施設計画 / 執務行為 / 空間利用 |
Research Abstract |
本研究は公立小学校施設を研究対象とし、教員の能力発揮を促す就業環境の充足といった観点から学校施設における教員空間計画指針の提示を目的としている。 研究初年度は全国アンケート調査(無作為抽出による公立小学校1000校、テーマ:教員と児童との関係における空間利用)、及び近年新築・改築・再整備された学校4校の現地調査を実施し、教職員の立場により空間利用内容に固有の特徴と問題点があることを明らかにした。 これらの課題を計画論に展開するべく、今年度は全国アンケート調査(無作為抽出による公立小学校500校を対象、教員と地域との連携のあり方からみた空間整備課題)、および近年新築されたモデル的学校施設2校(いなべ市、西予市から各1校)、既存施設の再整備として2校(西予市、学校規模の異なる2校)の計4校の現地調査を実施した。さらにOECDのCELE(Center for Effective Learning Environments)主催による国際会議(フィンランド)に参加し、教育先進国ともいえるフィンランドの教育環境事情や最新の取り組み、また学校施設1校の見学を通じて、教員による多様な教育方法とそれに必要となる空間のあり方について貴重な知見を得た。 これらの研究活動から得た成果として、(1)[学級担任の個人執務拠点]は教室周りの執務スペースに対してより機能性を追究した整備、(2)[職員室]は管理職と一般教員の共同執務、教頭・教務の個人執務、学外者対応の場という3つの観点からの計画、(3)[共同執務空間]は現状の空間不足、またニーズの大きさを踏まえたより計画的な整備、(4)[休養空間]は現状の利用者ニーズや価値観を踏まえて休養機能に特化した空間整備、(5)[規模に応じた空間整備]としては、大規模は個人・共用スペース共に確保しにくい状況から空間機能構成や面積配分のあり方をより考慮するといった5点の必要性を得た。この成果は日本建築学会計画系論文集の査読付き論文としてとりまとめ、教員空間計画に必要となる新たな視点を示した。(800字)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は全国的な動向・特徴の把握と問題点の抽出、今年度はそれを踏まえて具体的な計画課題をとりまとめることができた。これらをもとに最終年度となる来年度は、導かれた計画課題の検証、および教員空間の平面プランモデルの提示に取り組むことができ、本研究の最終目標としている「教員空間計画指針」の作成に順調に進むことができる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り、今年度得られた計画課題をもって現地調査を重点的に実施し、教員の能力を発揮しうる教員空間計画について学校現場に対する提案(現行プランの改善方法や、改築にあたって必要となる視点)を行い、計画課題の検証や具体化・改善等を行う。また当初の研究計画に追加する内容として、フィンランド、他諸外国の学校施設の特徴について、教員の就業空間という観点から世界的な動向や各国独自の特微を捉え、日本の学校施設に適用・応用しうる課題を捉えることを試みる。以上より、学校規模や新築・改築・改修の別に応じた教員空間計画指針を最終成果物として提示することを目指す。
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