2011 Fiscal Year Annual Research Report
路地単位特性を活かした接道不良長屋の保全的更新に関する研究
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22760454
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
原田 陽子 福井大学, 工学研究科, 助教 (00377475)
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Keywords | 接道不良長屋 / 木造密集市街地 / 路地単位 / セルフビルド / 創造的機能 / 保全的更新 |
Research Abstract |
本研究では、空堀地区における「(1)市街地変容プロセスと路地単位特性の把握」、「(2)接道不良長屋居住者の居住実態の把握」、「(3)モデル路地の展開可能性の検討」を通して、路地単位特性を活かした接道不良長屋の保全的更新の可能性を考察することを目的とする。なお、当初の予定よりも調査が早く進んでいるため、H23年度は先進事例としてデンマークにおける市民参加の都市再生についても調査を行った。これまでの研究を通して、以下の点が明らかになった。 (1)路地単位特性と接道不良長屋所有者の居住改善実態 地形条件、街路形態、長屋や個別の地域資源の分布など路地単位によって空間条件が大きく異なる。また祠や地蔵の存在が路地単位内でのコミュニティ活動を継続させている重要な資源であるといえる。場所ごとに多様な空間条件を持つ空堀のような地区においては、条件を共有する居住者や権利者が集まり、路地単位ごとの特性に応じたルールなどを協議していく必要があると考えられる。 (2)新規流入者の創造的な暮らし方 新規流入者の多くは風情あるまちなみや建物と共に、オリジナルな空間づくりができることを気に入り長屋等の利用を行っている。新規流入者の約6割がセルフビルドを行っており、多くの長屋は大家との契約内容で建物改修は自由となっている。創造的機能は6つに整理でき、セルフビルドや創造的機能を行うことで交流や意欲、愛着、充実感などの生活や心境の向上が見られる。 (3)デンマークにおける市民参加の都市再生 デンマークでは、市民参加による都市再生が国の政策として法制度の中に位置づけられており、市民参加により事業を進めるための具体的な仕組みと工夫を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H22年度に、福井大学の学生による調査協力、および現地調査において、居住者や新規流入者から当初の予想以上に協力的に調査に応じて頂き、予定よりも早く研究成果をまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も地元のコンサルタントや協議会、他大学研究者による現地での勉強会やワークショップに参加しながら本研究を進め、実践的な課題の改善に役立てるような研究成果を目指して行きたいと考えている。
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