2012 Fiscal Year Annual Research Report
路地単位特性を活かした接道不良長屋の保全的更新に関する研究
Project/Area Number |
22760454
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
原田 陽子 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00377475)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 木造密集市街地 / 接道不良長屋 / 路地単位特性 / 地域資源 / 居住改善 / 保全的更新 |
Research Abstract |
本研究では、大阪市空堀地区における「空間特性と路地単位特性」「接道不良長屋所有者の居住改善実態」「接道不良長屋所有者の今後の改善・継承意向と新規流入者の長屋等の利用概要」の把握を通して、木造密集市街地における地域資源を活かした住環境の保全的更新に向けた課題と可能性を探ることを目的とする。本研究を通して主に以下の内容が明らかになった。 1)55の路地単位の類型結果から、地蔵又は祠、起伏、袋小路の3つの空間条件を持つ路地単位では長屋や石畳等が多数分布し、特に「地蔵又は祠」の存在は、現在でも路地単位内でのコミュニティ活動を継続させる重要な資源である。 2)接道不良長屋所有者は、路地に面し建替が難しいことや隣戸と壁を共有するなどの「制度的・空間的制約条件」のもと、各世帯の住要求によって5つに分類される居住改善手法が行われている。しかし一方で、これら5つの居住改善手法はあくまでも個人の敷地内での改善に留まっており、避難路の確保など屋外空間に関する課題は改善されないままの状態にある。 3)接道不良長屋所有者は長屋の後継者について不明瞭である場合が多く、長屋の維持に関しては耐震・防災面等で不安を抱える人が多いが、同時に隣近所との協力の必要性を認識している居住者が複数存在する。一方、近年増加している長屋等を活用している新規流入者の多くは、風情あるまちなみと共にオリジナルな空間づくりができることが気に入り建物利用を行っている。 以上のような研究結果のもと、これまで負の遺産として捉えていたような老朽化した物件や接道不良長屋も、利用者自らが手を加え創造性が発揮できる資源として価値を見い出すと共に、建物内だけでなく路地整備など「屋外空間と一体になった」様々な改善手法を柔軟に受け入れ、後継者のいない長屋への若年世帯の利用を支援するような新たな仕組みづくりも重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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