2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760456
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田端 千夏子 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30508544)
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Keywords | 軸組構法 / 在来構法 / 伝統的構法 / アンケート / 地域性 / 変遷 |
Research Abstract |
近年、我が国の住宅構法の変化は著しく、明治期や高度成長期に次ぐ大きな転換期を迎えている。特に木造住宅の構法は、同年代あるいは同地域であってもその様相は異なっている。しかし、これらの変遷や地域性についての詳細な記録および整理は、未だなされていない。本研究は、三重県下の木造軸組住宅を対象に、特に耐震性能に関わる部分について調査を実施し、変わりゆく住宅構法の実態を把握することを目的としている。 本年度は、既往研究の整理・分析を行った後、三重県下の実務者を対象にアンケート調査を実施した。アンケートは、在来構法ならびに伝統的構法住宅の「材料」、「生産・流通」、「構造・施工」の分野について、現状や変遷を問う内容とした。具体的には、基礎・土台・床組・軸組・壁組・小屋組・接合部の各項目について質問を作成した。なお、調査対象は、特定非営利活動法人「三重県木造住宅耐震促進協議会」に登録している会員(大工、設計者、工務店等)700名足らず(664名)にアンケートを郵送し、およそ26%の回答を得た。 以上の調査および分析により、以下のような特徴と傾向がみとめられた。 1)三重県内の地域性について 半間寸法の主流は910m・909mであり、伊賀地域は985mmである。 2)在来構法と伝統的構法の比較から分かる各構法の特徴について 集成材は、伝統的構法ではほとんど使われていない。 2階床梁は、在来では大多数が天端合わせと回答している。一方、伝統では渡り腿とする回答が約半分を占めた。外壁の真壁の使用率は、在来で「殆ど用いていない」という回答が過半数(56%}を占める一方、伝統では約4割(36%が日常的に用いているとした。 3)既往の全国調査との比較による三重県の地域性 半間寸法の主流は910mmで、全国傾向と一致した。ただし、地理的に関西に近い伊賀地域では、関西~中国で採用される985mmが主流であった。 土壁の貫の本数は、関東で主流の5本、関西で主流の3本、その中間の4本が併せ見られた。
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