2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760471
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
樋口 貴彦 東洋大学, 木と建築で創造する共生社会研究センター, 研究助手 (50568631)
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Keywords | 木造建築 / サスティナビリティ / 板倉 / 建築構法 / 八ヶ岳山麓 |
Research Abstract |
本研究は次世代の建築の環境性能評価基準において、資源循環とう点から評価されている木造建築のサスティナビリティに着目し、山麓の森林資源をもとに、一つの建築部材を数世代の建築に活用している事例が見られる八ヶ岳山麓の板倉を対象として、地域における建築材料の運用方法と建物における部材の使い回しの手法を明らかにすることを目的とする。 研究方法として特に他の地域よりもクラの壁体の構法の観察が可能な事例が多い西麓の農家のクラと寒天倉庫を対象として、移築や、増改築によって部材の使い回しが見られる事例を抽出し、次に古材の使い回し方や、新しい部材との組み合わせ方を整理して、木材の材種や断面寸法にみられる使いまわされる部材の技術的特徴を整理する一方で、建物の規模やプラン、機能の変更、地域的傾向校など、社会的要因明らかにし、技術的、計画的側面の対応関係の検討を行う。 22年度は、2集落200棟弱の農家のクラについて悉皆調査を行い、クラの壁面め情況と敷地内集落内における立地との関係を考慮しつつ、移築・再利用の傾向を調査した。また茅野市内に現存する10棟の寒天倉庫の規模と新築・移築・再利用の実態を2006年に解体された下諏訪倉庫の傾向特徴をふまえ、規模や壁材の特徴に着目して整理した。 さらに補足的に農家のクラについては部材の再利用がみられる板倉の詳細な実測調査を行った他、初期の寒天倉庫と同時代に建設されたと思われ、構造的な特徴に類似点がみられる大町市の麻倉の調査を行った。 農家のクラの調査からは、集落外周部に板壁の移築・再利用されたと推測されるクラが多くみられる点、道路の拡張によってクラが母屋の南側から母屋の側面に移動される傾向がある点に部材の再利用とクラの立地の傾向を明らかにした。また寒天倉庫と養蚕倉庫の調査記録の整理から、寒天倉庫と養蚕倉庫の収蔵空間に求められる収蔵空間の規模の違いを明らかし、部材の再利用に際し、建築面積や階層数が調節されている点を明らかにした。
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