2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760471
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
樋口 貴彦 東洋大学, 工業技術研究所, 客員研究員 (50568631)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 木造 / 板倉 / 移築 / 再利用 / 八ヶ岳 |
Research Abstract |
八ヶ岳山麓の集落内及び、集落間では、板倉の解体・移築が戦後まで盛んに行われていたことがこれまでの調査でわかった。当該年度は移築時の建築計画的な需要に対する構法の変遷について、より広範囲にまた事例数を増やして検討するために、八ヶ岳山麓西麓で多くの板倉がみられる北山区の集落を主な調査対象として、集落の悉皆調査、移築や再建の形跡がみられる板倉の所有者に対する、移築の経緯、移築時の構法の変更点について聞取り調査を行った。その結果、当該集落では1970年代まで収穫した米の貯蔵施設として板倉の需要があり、他の集落から板倉の移築が行われていたことがわかった。また移築時に二階の階高を増すために、既存の壁面の上部に井籠組を重ねる手法がとられ、その結果、落し板倉と井籠倉構法が折衷した形式をとる事例があることがわかった。形式の板倉は近接する集落においても少数みられており、一般的に落し板倉よりも古い形式とされる井籠組みが目的に応じて近年まで用いられてきたことを示す結果となった。類似する手法は欧州の山岳地域の板倉造りの民家においてもみられ、必要とされる室内空間を拡張する手法として木材を積み増す普遍的な構法と推察された。一方で、集落間で木造施設がやり取りされ、所有者が変わりながら木材が数世代に渡り活用される状況は特異であり、調査活動と平行してニュージーランド、オークランドで開催された世界木造会議(World Conference Timber Engineering 2012)に参加し、これまでの研究成果をもとに八ヶ岳山麓で板倉構法の変遷の特徴と移築・再利用の実態について、日本の山岳地域における木材資源を有効利用する建築技術として報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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