2011 Fiscal Year Annual Research Report
フエの歴史的環境保全と関連する周辺集落における段階的再定住手法に関する研究
Project/Area Number |
22760472
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 尚彬 早稲田大学, 総合研究機構, 研究員 (80454106)
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Keywords | 歴史的環境 / 段階的再定住 / 住環境改善 / 開発途上国 / 適正技術 / デザインデータベース / ユネスコ世界遺産 / ベトナム |
Research Abstract |
本研究では,東アジア特有の環境と共生するように計画・設計された歴史資産を持続的に保全する方法論として,その生態学基盤を支える周辺集落の住環境と歴史的環境との一体的な環境再生モデルを提示するための基礎的な学術調査を行うことを主目的とした. 本研究で設定した最終目標は,歴史都市フエにおいて,歴史資産の持続的な保全と関係付けながら,周辺集落の住環境を改善しつつ段階的に居住者の再定住を進める方法論を,代替案の検討を通じて開発することであった.具体的な方法としては,阮朝第三代皇帝陵(紹治帝陵)周辺の開発規制がかけられているゾーンにおいて,(1)周辺集落の生活実態を調査・分析し,(2)歴史的環境保全の持続可能性に周辺集落が与える影響を評価した上で,(3)居住地移転に加えてオンサイトでの定住化のシナリオを作成し,その可能性を検討した.そして,最後には遺跡保存に従事する現地関連行政担当者との共同作業を通じてFileMakerProを用いたデザインデータベースを構築し,住民が遺跡と共生するように住みつづけるためのオンサイト再定住のシナリオ代替案を考えるためのアイディアデータとしてまとめた. 当初予定していた紹治帝陵の周辺集落における段階的再定住のシナリオ体験ワークショップは,大型台風による洪水の影響で研究対象集落内の低地部分にあったいくつかの住宅が大きな被害を受けたことを考慮し,住民に負担をかけないために,遺跡周辺のゾーニングによる開発規制を検討する現地関連行政担当者が、今後集落の住環境改善の検討のために使うことのできるようなデザインデータベースを作成した.結果として段階的な居住者再定住の代替案の検討を行うための情報基盤が整備された.
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