2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケープ植民地における人種隔離空間の計画とその形成・変容・再編過程に関する研究
Project/Area Number |
22760479
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Research Institution | Shokei Junior College |
Principal Investigator |
佐藤 圭一 尚絅大学短期大学部, 准教授 (60435378)
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Keywords | 南アフリカ / 植民都市 / アパルトヘイト / グラーフ・ライネ / ケープ植民地 / 人種隔離 / グリッド・パターン / ボーア人 |
Research Abstract |
研究初年度である本年は、主にケープ植民地に関する史資料収集を行い、2年目以降の本調査の準備作業を行った。主な調査機関は、ケープタウンのSurveyor General、South African Heritage Resources Agency(SAHRA)、Cape Archivesとグラーフ・ライネのGraaff-Reinet Museum、Camdeboo Municipalityである。SAHRAの文化財調査指定部門の責任者とケープ植民地調査に関する意見交換するとともに研究協力体制を築き、グラーフ・ライネを調査都市の1つに選定した。来年度以降の重点調査地区選定を目的として、18世紀末に建設された南アフリカ内陸植民都市の1つであるグラーフ・ライネにおいて予備調査を行った。200年間ほとんど変化のないグリッド・パターンの都市骨格が現存している。同じグリッド・パターンの南アフリカ植民都市であり、これまで研究蓄積のある17世紀のケープタウン、19世紀のピーターマリッツバーグとの比較研究として発展しうる調査対象であった。アパルトヘイト期に白人地区に指定されたグラーフ・ライネ中心部には、18~19世紀の植民地建築が保存状態がよいまま残っており、住民組織を中心に保全活動が活発に行われている。一方でSAHRAによる文化財保護政策は未だ実行されず、一部の幹線沿いで開発が進みつつある。また、周辺には隔離された黒人地区やカラード地区が現存し、アパルトヘイトの影響が都市形態に色濃く残る。南アフリカではこれら非白人地区の保全・開発の議論もあわせて必要であり、今後の研究課題として浮上した。
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