2010 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代および30年代の京都における建築活動の実態とその特徴に関する研究
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22760487
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80303931)
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Keywords | 建築史・意匠 / モダニズム建築 / 京都 / 海外交流 / 受容 |
Research Abstract |
本年度は、1920年代から30年代にかけて京都を拠点に活躍した建築家や、建築運動団体の活動、またその団体と欧米との海外交流、海外の建築文化の受容のあり方について、文献調査や建築の見学調査を通じて把握し、当時の建築作品や建築家の活動の特性を捉えた。 文献調査については、京都を拠点として活動した建築運動団体「日本インターナショナル建築会」のメンバーであった外国会員の書簡や雑誌および新聞資料を、ロッテルダムのオランダ建築協会(NAi)やドイツのベルリン市立図書館、デンマークのコペンハーゲン中央図書館などで調査した。それにより、これまで資料が入手できず不明であった「日本インターナショナル建築会」の活動の一端が明らかになったほか、彼らと交流があったドイツの雑誌が、モダニズムを標榜しながらもやや保守的な位置にいるグループであったことが明らかになった。また、これまで入手した文献資料を建築家ごとに整理しファイリング作業を行った。 見学調査については、「日本インターナショナル建築会」の外国会員の建築作品や、当時「日本インターナショナル建築会」が思想や意匠において影響を受けたとみられるドイツやオランダ、オーストリア、北欧などの建築家による建築作品を見学調査し、その特徴と影響関係の把握を行った。その結果、「日本インターナショナル建築会」の建築作品は、1910年代から20年代にドイツやオランダで建設され、雑誌等でも紹介されていた建築の影響が主であること、特に室内ではアールデコ風のやや古風な意匠の影響があることが確認できた。
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