2011 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代および30年代の京都における建築活動の実態とその特徴に関する研究
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22760487
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80303931)
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Keywords | 建築史・意匠 / モダニズム建築 / 京都 / 海外交流 / 受容 |
Research Abstract |
本年度は、武田五一や本野精吾、上野伊三郎、藤井厚二、大倉三郎といった、1920年代から30年代に京都を拠点に活躍した建築家、また「日本インターナショナル建築会」や「デザム」「白路社」「鉄扉社」「あめりか屋京都店」といった組織や団体の建築作品や活動について、著書や雑誌に掲載された論考や作品、一次資料の調査を行った。また、前述のような1920年代から30年代に京都を拠点に活躍した建築家や組織、団体の建築作品を見学調査し、その特徴と影響関係の把握を行った。 京都では、本野精吾のように1920年代前半から全国でもいち早くモダニズムが導入され、建築家によって独自にその方法が追求されたが、その後1930年代になると今度は1920年代的なデザイン傾向から抜け出せず、同時代の東京に比べると、むしろやや「遅れ」を取るような傾向が見られた。また、建築運動団体には、総じて理論的な基盤やそれを建築デザインに反映させる方法論がやや希薄であることが確認できた。しかし一方でその組織力は優れており、「日本インターナショナル建築会」は180名近い国内会員や10名の海外会員を有し、「白路社」「鉄扉社」は大阪や神戸、東京、その他地方都市にも会員がいるなど、広範囲の活動を展開していたことも確認できた。特に大阪との関係は深く、京都のモダニズムが大阪との連携の中で形成されたと言える。また1930年代に建設されたものでも、工芸的な技巧や装飾が見られる建築作品が少なからず確認でき、京都の伝統産業との関係を見い出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、建築家と建築運動団体などの組織の活動を中心に調査を行った。比較的資料にも恵まれて、調査を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度と同様に研究や作業を進め、1920年代から30年代の京都の建築活動について明らかにする。
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