2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760488
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水田 丞 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (40540406)
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Keywords | ジャーディン・マセソン商会 / 外国商館 / 外国人居留地 |
Research Abstract |
本年度に行った研究成果は以下のようにまとめられる。 (1)19世紀の東アジアで活躍した外国商会のうち、最大の規模を誇ったジャーディン・マセソン商会の商館建物や宅地等の不動産、そして建築工事を手掛けた建築家、大工等の活動を把握するために、ケンブリッジ大学図書館において同商会の文書の閲覧を引き続き実施した。今年度は東アジアの開港都市各地に建設された事務所の平面図や立面図、また、大工や建築家との契約書類、そして商会管理の宅地建物、中国人向け借家にかんする造営、メンテナンス、賃貸経営や衛生管理に関する書簡や報告書類などを閲覧することができた。ただ、収集しえた情報は断片的であるため、今後は建築家や各支店間の書簡類、また社史等の刊行資料との照合を行い、資料の評価や各地の事務所の建設経緯を整理する必要がある。 (2)19世紀中期から後期の日本の開港都市(横浜や神戸)、また香港や上海で発行されていた英字新聞、ディレクトリーを通読し、外国商館の建築にかかわる新聞記事の収集をした。また、ディレクトリーの記載内容から、各開港都市における主要な外国商会の支店設置年をとらえることを試みた。情報量はきわめて膨大なため、次年度以降も引き続き閲覧を継続していきたい。 (3)明治初期の日本で活躍した外国人技術者マクヴェインを顕彰するシンポジウムにおいて、幕末明治初期の日本の近代化とイギリス商会ジャーディン・マセソン商会との関係について、研究事例の発表を行なった。専門分野を異にする各地の研究者から有益な意見や情報をうかがうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は資料の充実しているジャーディン・マセソン商会所有の商館を主たる研究対象に据えて取り組んだが、同商会関係の一次資料は、当初想定していたより膨大な量が確認され、収集と確認が追いついていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ジャーディン・マセソン商会文書の閲覧・一次資料の収集は最終年度も継続して行なうが、比較的入手や解読がしやすい社史や通史、新聞記事等の刊行資料も適宜援用しながら、同商会を軸にした19世紀後期の東アジアにおける外国商館の建築的実態をまとめたい。
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Research Products
(1 results)