2011 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル三次元計測技術を用いた中近東・古代の石造ドーム建築に関する研究
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22760490
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 隆一 熊本大学, 大学院・先導機構, 特任助教 (70407203)
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Keywords | ペンデンティブ / ドーム / ローマ建築 / 中近東 / 測量 |
Research Abstract |
本研究の対象は、中近東・古代における石造ドーム建築である。帝政ローマ時代の中近東には、高度な石造技術が発達し、初期ペンデンティブの構造を見るうえで、重要な遺構が少なくない。申請者は、過去5年間(H17~H21年度)にわたって中近東を中心とした石造ドーム建築の基礎調査を行ってきた。本研究では、近年目覚ましく発達しているデジタル三次元計測技術を用いて、さらに詳しい学術調査を行い、中近東・古代における石造ドーム建築の構造的特徴と歴史的位置づけとの双方を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度(H22年度)の調査に引き続き、ヨルダンにおける第二次調査を9月に実施し、アンマンのヌウェイジズ、ジェラシュの西浴場、ペトラのローマ浴場の3つの建築遺構について、実測調査を行った。実測にあたっては、測量学者と共同して、最新のデジタル三次元計測技術(レーザースキャナ)を用いて建物全体を測量した。その結果、建物全体の実測はもちろん、ペンデンティブ・ドームの詳しい三次元計測データを得ることが出来た。このデータを用いて、実測図を作成中である。また、ヨルダンのアメリカ研究所およびドイツのフライブルグ大学にて関連文献を収集し、ローマ時代のペンデンティブ・ドームに関する資料を収集した。 これらの現地調査と文献資料に基づいた分析の結果、紀元後2世紀前後の中近東において、精度の高いペンデンティブ・ドームが建てられていたことが、しだいに明らかになってきている。H24年度は、さらに詳しい分析を行って、研究成果をまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、現地にて実測調査を行い、また文献資料を収集して、必要なデータを得ている。また、研究成果の一部を学会等で発表しており、今後の分析によってさらに成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、昨年度の三次元デジタル測量のデータを用いて、詳しい実測図を作成する。また、必要に応じて再度現地を訪問し、追加資料を収集する。本事業での研究が最終年度となるため、研究成果を取りまとめ、関連学会で発表する。
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