2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22760496
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
海野 聡 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (00568157)
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Keywords | 国分寺 / 学際的研究 / 地方官衙 / 建築士・意匠 |
Research Abstract |
年度の当初より計画していた奈良時代における造営僧である実忠に関する研究会(実忠研究会)を、小岩正樹氏(建築史)・清田美季氏(古代文献史)・児島大輔氏(美術史)ととも研究会を計3回、開催した。さらに申請者自身も発表を行った。 地方遺跡のシンポジウム(古代城柵官衙遺跡検討会)に参加し、奈良文化財研究所における「古代官衙・集落研究会」を事務局として運営に携わった。そのなかで、多くの地方自治体関係者と情報を交換・共有し、特に四面席建物を中心に地方官衙に関する討議をおこなった。 古代建築史に関する研究会である「古代建築を読む会」において、奈良時代における「楼」建築に関する考察と、東大寺創建大仏殿に関する検討について発表をおこなった。 礎石・掘立柱を併用する建物の先行研究及び発掘事例を収集し、考察をおこなった。特に平城宮第一次大極殿院の東西楼について、その施工方法についての検討をおこなった。 出土した建築部材については、当研究所の発掘調査(平城487次調査)において井戸枠の取上げをおこなった。来年度、実測調査を計画している。 ・当初の予定通り、六国史、三代格などの文献史料を中心に、造営状況、維持管理、取り巻く社会の実態を分析し、審査付学術雑誌(『日本建築学会計画系論文報告集』『建築史学』)や学会発表を通して、その成果を公開した。 これらの結果、奈良時代の在地における造営技術者および造営技術者集団の存在を明らかとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、査読付論文1件を予定していたが、3件が審査を通過し、成果を公開することができた。ゆえに論文という形式での成果の公開状況は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、発掘遺構を中心に資料収集をおこない、同時に現存遺構および復原された建物の現地調査を通して、古代建築の技法の研究を進める。 計画の変更部分としては、研究成果の公開が順調に進んでいるため、当初、刊行を予定していなかったが、研究業績の集成作業をおこない、出版の準備作業をおこなう。
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