2011 Fiscal Year Annual Research Report
YBCO薄膜の磁束ピン止め研究のための制御されたナノ欠陥の作製
Project/Area Number |
22760504
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
BAGARINAO Katherine 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (00357758)
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Keywords | 高温超電導 / YBCO薄膜 / 臨界電流密度 / 磁束ピン止め / アルゴンイオンミリング / 陽極酸化ポラースアルミナ / 欠陥 / フッ素フリーMOD |
Research Abstract |
今年度は欠陥の少ないYBCOのフッ素フリーMOD膜を中心にして、ナノ欠陥を導入するためにナノメーターサイズの細孔を有するアルミナ陽極酸化膜を通してYBCO薄膜のアルゴンイオンミリングを行った。臨界電流密度Jcの向上を目指し、アルゴンイオンミリング後の酸素熱処理アニール効果を調べた。また、同様な方法で微量の希土類を添加したYBCO膜にナノ欠陥を導入し、更に高いJcが得られた。今まで200A/cm以上クラスのフッ素フリーMOD膜(膜厚:700nm)の再現性が良くなかったが、ナノ欠陥の導入による最高の臨界電流の単位幅Ic/wは~230A/cmを達成した。希土類添加の効果はまだ明らかではないが、ナノ欠陥の導入と合わせて臨界電流を更に大きく向上させることが分かった。ナノ欠陥を導入したフッ素フリーMODのYBCO薄膜のピン止め機構を解明するため、77.3KにおけるJcの角度依存性及びインプレーンX線回折の測定と分析を行った。Jcの角度依存性の評価により、c軸相関ピンの寄与が少ないと見かけられるが、ランダムピン及びab面相関ピンの寄与が大きくなることが分かった。更に、Grazing入射角度のインプレーンX線回折測定を行い、インプレーンマイクロストレーンを評価した。結果は、as-grown膜に比較してナノ欠陥を導入したYBCO膜の方がインプレーンマイクロストレーンは高いことを確認した。ランダムピンとab相関ピンは、イオンミリングで引き起こす積層欠陥周辺部における酸素欠損に起因すると考えられる。2011年欧州超電導国際会議で口頭発表を行い、多くの超電導の研究者に公表することができた。また、主な研究成果は超電導分野のインパクトファクターの高いSuperconductor Science and Technology雑誌に論文の仕上げることができた。
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Research Products
(5 results)