2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 純 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20435754)
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Keywords | ナノワイヤ / 遷移金属酸化物 / 分析電子顕鏡 |
Research Abstract |
本年度は、遷移金属酸化物ナノワイヤの成長実験を行った。最初に、成長のための装置を設計、作製し、立ち上げた。まずは、遷移金属元素としてバナジウムを選び、バナジウム酸化物・ナノワイヤの成長を試みた。原料の温度や成長温度、成長雰囲気(キャリアガス種)を変えることで、ナノワイヤの成長条件を探索した。それぞれの成長条件下での生成物に対して、走査型電子顕微鏡法(SEM)による形状評価や、透過型電子顕微鏡(TEM)内での電子回折法による構造評価、X線光電子分光法(XPS)による組成評価などを行った。その結果、いくつかの条件下では薄膜状の生成物が形成されるが、特定の条件下においてのみナノワイヤ状の生成物が成長することがわかった。酸素雰囲気下において成長したナノワイヤの組成分析を行ったところ、二酸化バナジウムであることが示唆された。成長した二酸化バナジウム・ナノワイヤの結晶構造の詳細については、現在、解析中である。一般に、二酸化バナジウムは、多くの結晶構造を有することが知られており、リチウムイオン二次電池の電極材料に適したものや、金属絶縁体転移を室温付近で発現するものなど、その応用範囲は広いと期待できる。本年度の成果は、400度以下の比較的低温で遷移金属酸化物ナノワイヤの気相成長に成功した、点にあり、成長技術の観点においてその意義は大きい。これは、同様な成長方法で、種々の遷移金属酸化物のナノワイヤを比較的低温で成長させることができる、ことを意味する。今後、より詳細に調べ、研究発表していく予定である。
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