2010 Fiscal Year Annual Research Report
二元系遷移金属酸化物における電界誘起抵抗変化現象の機構解明
Project/Area Number |
22760519
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤原 宏平 独立行政法人理化学研究所, 高木磁性研究室, 基礎科学特別研究員 (50525855)
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Keywords | 抵抗変化メモリー / 酸化物デバイス / 遷移金属酸化物 / 酸化還元 / ナノワイヤ / 半導体物性 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物で発現する電界誘起抵抗変化現象の微視的メカニズムの解明を軸に、新規デバイス創成への設計原理構築に取り組んでいる。初年度は、1. 抵抗変化に伴う酸素拡散の直接検出、2. ナノワイヤ型デバイス作製プロセスの確立、に注力した。さらに、3. デバイス動作の初期化である高電界印加操作(フォーミング)を必要としない素子の開発、にも着手した。具体的成果を以下に記す。1. 同位体酸素をトレーサーとして局所イオン注入したCuO素子を作製し、フォーミング後の酸素イオン空間分布を二次イオン質量分析により評価した。絶縁破壊的に形成された導電性ブリッジ構造に一致する形で、酸素イオンの減少、即ち還元が観測された。重要な成果として、還元強度の空間不均一(陽極側への酸素輸送)を捉えることに成功した。電界下での酸素拡散やエレクトロマイグレーションが抵抗変化(酸化還元)の背景にあることを強く示唆する結果となった。2. 遷移金属ナノワイヤの酸化還元を利用したデバイスの開発を行っている。電子線リソグラフィーを用いて加工した種々のナノワイヤ(Ni, Cu, Ti)に対してデバイス構造を形成し、抵抗スイッチング特性を評価した。また、酸素イオン伝導材料でナノワイヤ表面を被覆したデバイスについても試作を行い、スイッチング動作の観測に成功した。デバイス特性と材料・構造との相関から、素子高性能化への指針となるパラメータを抽出したい。3. 絶縁破壊的性質を有するフォーミング操作の存在は、デバイス信頼性を著しく低下させる。報告者は、反応性スパッタ中に金属・酸化物が相混合状態で形成される一種のパーコレーション系に着目し、金属ネットワークの精密制御によるフォーミングフリーデバイスの実現を試みている。本年度はCu-Cu20系を対象に製膜条件の探索を行い、適切な酸素分圧下で作製した試料において金属ネットワークの生成を確認した。
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Research Products
(6 results)