2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポリプロピレン/無機系ナノコンポジット材料の環境調和型調製法の確立と耐衝撃性評価
Project/Area Number |
22760521
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 満 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70314036)
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Keywords | コロイダルシリカ / ポリプロピレン / 無機塩 / ナノコンポジット / ナノ粒子 / 粒子凝集体 / 分散 / 凝集 |
Research Abstract |
分散無機粒子(フィラー)の表面改質を要しない簡便なトップダウン型アプローチによるポリプロピレン(PP)/無機系ナノコンポジットの創製を目指し,当初の計画を踏まえて以下の研究を実施した。 (1)無機ナノ粒子多孔質凝集体(フィラー前駆体)の作製および凝集体の粒子配列構造・強度評価 無機ナノ粒子としてシリカを選択し,平均一次粒径57nmのコロイダルシリカ水溶液(シリカゾル)を出発原料としてゾルのpH,添加する無機塩の種類・濃度の条件を変化させることによりゾル中のコロイダルシリカの分散・凝集制御を行い,水分散媒の蒸発過程を経て,シリカ多孔質凝集体を調製した。ゾル水溶液での分散・凝集評価実験により得られた結果から,凝集体形成メカニズムを推定した。ゾルへの塩添加操作は得られるシリカナノ粒子凝集体の孔の大きさに,pH調整操作は凝集体の粒子間付着力に影響を及ぼし,両操作が凝集体の解砕強度を左右する因子となることがわかった。また,塩添加効果は,どのような無機塩を添加しても同様に得られ,孔形成に必要な無機塩添加量もごく少量で十分であることも明らかにした。この研究(1)の結果を総合して,溶融混練によるPP樹脂とのナノコンポジット化において,最も容易に解砕しフィラーとしてシリカナノ分散させることに適したシリカ凝集体調製条件を探索した。 (2)PP樹脂とのコンポジット化とシリカ分散性評価 購入した小型高せん断セグメントミキサーを付設した混練機を用いて,市販の安価なPP樹脂と研究(1)にてシリカ凝集体を混合・撹拌し,コンポジット化実験を行った。57nmの一次粒径での完全解砕(一次粒子単位分散)状態でのナノコンポジット化には至らなかったものの,研究(1)にて提案した最適調製条件での凝集体を用いた場合が最も良好な分散状態であったことを実証するとともに,ナノ分散性の更なる向上に向けた知見を得た。
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Research Products
(6 results)