2011 Fiscal Year Annual Research Report
ギガパスカル超高圧合成法によりLiドープされた水素化物高圧相の安定化機構の解明
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22760527
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀川 厚則 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90292242)
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Keywords | 水素化物 / 高圧合成 / 相変態 / 新エネルギー / 水素 |
Research Abstract |
計画通り、水素化物の報告の無い遷移金属(TM=Ti、Zr、Hf、Ni、V、Nb、Ta)を構成元素としたリチウムとの系について、全ての系において新規水素化物の合成を行った。超高圧合成法がこれまで困難とされたリチウム系材料の探索における材料選択の範囲を拡大させることが可能であることが分かった。さらに、水素特性などについても性能評価を行い、実用的な材料設計指針としてNiなど遷移金属などを複合化させることによって、元来水素放出温度が高いとされるリチウム系でも150℃以下で水素放出することが分かった。 得られた全ての新規化合物において結晶構造解析を行い、妥当な結晶構造の提示を行った。ただし、リチウムや水素など軽元素については、精密な位置の解析には至らなかったが、原子番号の大きな金属元素の副格子については、概ね同定された。 これまでにリチウムを主たる組成とする化合物の水素貯蔵能は、リチウム水素化物のほかにはリチウムアラネート(LiAlH4)やリチウムボロハイドライド(LiBH4)など錯体系化合物が主であった。しかしながら、今回の超高圧合成法を用いた材料探索によって、リチウムと組み合わせが困難とされてきた遷移金属などの金属元素と組み合わせることが可能であることを実証し、リチウム-ニッケル系水素化物においては150℃以下で水素を放出するなど、新たにリチウム系水素貯蔵材料が低温動作可能であることを示した。これらのことから、リチウムと遷移金属を組成することで、軽量で低温動作可能な水素貯蔵材料の可能性を提案するものである。
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