2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ヘッドと探針ピエゾ駆動ホルダを用いた透過電顕内交流磁場印加その場観察法の確立
Project/Area Number |
22760528
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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Keywords | 透過電子顕微鏡 / 磁気ヘッド / 探針ピエゾ駆動ホルダ / 交流磁場印加 / その場観察 / 電子線ホログラフィー |
Research Abstract |
震災の影響で、顕微鏡が一部破損し、実験が思うように進まなくなったため、その間、本研究に関連した実験データの解析技術の向上に注力した。空間に広がる磁束分布を電子線ホログラフィーで解析する場合、参照波領域の電子位相も磁場によりシフトしているため、その効果を考慮した解析が必要となる。そこで、昨年度導入したエルフ社の磁場解析ソフトELF/MAGICに対して、上記の効果を取り込んだ電子線ホログラフィーの解析が簡単に行えるように、エルフ社とメールで密に連絡を取り合い、独自の計算結果の出力機能を盛り込むことで、機能向上を更に進めた。その結果、これまで解析が難しかった、「複雑な形態の試料から3次元的に発生する磁場分布や、参照波領域に漏れ出た電磁場、また、試料ドリフトなどが電子線ホログラフィーで得られる位相再生像に与える影響」をシミュレーションできるようになり、電子線ホログラムの解析技術が本研究課題を通して飛躍的に向上した。 成果の発表に関して、これまでに得られた(1)磁極の位置を正確に特定するための磁気ヘッドの微細加工、(2)電子線ホログラフィーを活用した加工された磁気ヘッドの磁場評価に関して実験結果を整理した。磁気ヘッドを配線したまま顕微鏡内に直接導入して磁場観察した例はこれまでになく、独創的な実験結果といえる。また、本研究テーマのひとつである動的磁場下での観察結果として、電磁鋼板に動的な磁場を加えて、磁壁と人工的に作製した材料欠陥の相互作用を解析した。その際、観察結果をマイクロマグネティクスシミュレーションの結果と照らし合わせることで、相互作用過程における各種磁気エネルギーの変化などが分かった。
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