2011 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン電池用固体電解質としての錯体水素化物の機能化と新規電極材料の開発
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22760529
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松尾 元彰 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (20509038)
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Keywords | 錯体水素化物 / リチウムイオン伝導 / ナトリウムイオン伝導 / 全固体電池 / 固体電解質 / イオン液体 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続いて課題(1)「Li^+イオンおよび(BH_4)-錯イオンへの陽・陰イオン置換によるイオン伝導特性の向上」と課題(2)「高容量新規電極材料の開発」に取組むとともに、課題(3)「全固体リチウムイオン二次電池としての源理実証」を進めた。 課題(1)「Li^+イオンおよび(BH_4)-錯イオンへの陽・陰イオン置換によるイオン伝導特性の向上」 ・LiBH_4の(BH_4)-錯イオンの一部をI-と(NH_2)剛錯イオンで置換することにより、室温でのイオン伝導率が従来の錯体水素化物での根告例(2×10^<-4>S/cm)と比較して3倍増大することを明らかにした。 ・LiBH_4の(BH_4)-錯イオンの一部をI-置換した場合のイオン伝導度向上の要因を、擬弾性・非弾性中性子散乱測定を用いて明らかにした。 ・LiBH_4の(BH_4)-錯イオンの一部を(NH_2)-錯イオンで置換して合成したLi_2BNH_6およびLi_4BN_3H_<10>が、固体電解質としてだけでなくイオン液体としても応用可能であることを明らかにした。 ・NaBH_4、NaAlH_4、Na_3AlH_6などのNa系錯体水素化物がナトリウムイオン伝導を示すことを明らかにした。NaBH_4の(BH_4)-錯イオンの一部を(NH_2)-錯イオンで置換することにより、高速ナトリウムイオン伝導(室温で2×10^<-6>S/cm)かつ高化学的安定性(6V以上)を有するNa_2BNH_6の合成に成功した。 課題(2)「高容量噺規電極材料の開発」 LiBCを合成しポテンショ・ガルバノスタットを用いて充放電特性を評価した。LiBCからのリチウムデインターカレーションは可能であるが、インターカレーションは確認できなかった。 課題(3)「全固体リチウムイオン二次電池としての原理実証」 パルスレーザー堆積法を用いて薄膜電池(Li/LiBH_4/LiCoO_2)を作製し、充放電特性を評価した。LiCoO_2に緩衝層としてLi_3PO_4を被覆することにより、理論値に近い120mAh/gの充放電容量が得られた。 本研究成果として得られた「イオン液体としての応用可能性」、「高速ナトリウムイオン伝導体の開発」、「固体電解質としての原理実証」はいずれも錯体水素化物としては世界で初めての報告であり、錯体水素化物の新エネルギー関連機能を発展させることの意義は極めて大きいと確信する。
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Research Products
(18 results)