2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代火力発電プラント使用条件下におけるオーステナイト系耐熱鋼の変形機構
Project/Area Number |
22760535
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 尚記 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70432523)
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Keywords | 耐熱材料 / 結晶粒界 / 結晶粒界 / Laves相 / 粒界析出強化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,次世代火力発電プラント(A-USC発電プラント)使用条件である700℃級のオーステナイト系耐熱鋼を用いて,室温及び高温における粒界の役割を調べることにある.以前の研究において,700℃級の候補材料であるFe-20Cr-30Ni-2Nb鋼(at.%)の粒界は700℃において弱化因子として作用し,粒界に析出したLaves相がクリープ抵抗を増大させ,粒界を強化することが明らかにされた.しかし,実用では室温において粒界と粒界に析出したLaves相の役割は不明であり,特にLaves相は鋼を脆化させることが懸念される.本年度では,室温における粒界に析出するLaves相の役割を調べた.Fe-20Cr-30Ni-2Nb鋼を用いて,Laves相の粒界被覆率を0%~90%に変化させた鋼の室温におけるシャルピー衝撃試験を行った.Laves相の粒界被覆率の増加に伴い吸収エネルギーは低下する.その主要因は,粒内に生成する双晶面にフィルム状に析出したLaves相に沿ったへき開破壊によるものであり,き裂は粒界Laves相やLaves相/γ-Fe母相界面を伝播しない.また,粒界Laves相の塑性変形能を明らかにするため,γ-Feと平衡するFe-rich Laves相(Fe-40Ni-15Nb合金)の硬さ試験を行った.面すべりのSchmidt factor増加に伴い,Niを固溶したLaves相は硬さが低下する.その硬さ試験圧痕周りには多くの底面に沿ったすべり痕が観察された.したがって,オーステナイト系耐熱鋼の強化相であるLaves相は塑性変形能を有し,鋼を脆化させないことが明らかとなった.
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