2010 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェントランジスタを用いたバイオセンシング技術の開発
Project/Area Number |
22760541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 恭秀 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90362623)
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Keywords | グラフェン / 電界効果トランジスタ / バイオセンサー / アブタマー / 免疫センサー |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、まず何も修飾していないグラフェンを用いた行った、溶液pHの測定において、その解像度が0.03以下の高感度であること、またタンパク質の電荷の正負を変化させて測定した場合、電流の増減が変化することから、修飾をしないグラフェンは電荷の種類を検出できることを示した。その後レセプター分子をグラフェン上に修飾し、選択的なバイオセンシングを試みた。レセプター分子として、溶液中で形成される電気8重層の厚さ(約5nm)よりも小さな物質を選ばなければならないため、本研究では大きさが2-3nmであるアプタマーというオリゴヌクレオチドの一種を用いた。アプタマー修飾後、原子間力顕微鏡観察により高さ約3nmの物質がグラフェン上に隙間なく存在することが確認された。また、電気特性より、負に帯電したアプタマーの存在が正孔伝導を増大させることが証明された。修飾前後での移動度にも目立った変化は観測されず、アプタマー修飾がグラフェンに欠陥を導入していないことが分かった。アプタマー修飾したグラフェンはターゲット分子である免疫グロブリンEのみを検出することに成功した。免疫グロブリンEの濃度を変化させて解離定数を見積もった結果は、他の手法で検出されたものと同等の値を得ることができ、グラフェンによる生体分子検出の信頼性を示している。以上の結果は5件の国際会議(内招待講演1件}で発表を行い、2009年のインパクトファクターが5.429および8.580の学術論文雑誌に掲載を許可された。
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Research Products
(7 results)