2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェントランジスタを用いたバイオセンシング技術の開発
Project/Area Number |
22760541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 恭秀 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90362623)
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Keywords | グラフェン / 電界効果トランジスタ / バイオセンサ / イオンセンサ / 抗原抗体反応 / 電気二重層 / フラグメント抗体 |
Research Abstract |
本研究機関内で抗原抗体反応の検出を行った。通常電界効果トランジスタを用いたバイオセンシングでは、溶液内に形成される電気二重層の厚さ(~5nm)を超える大きさを持つ抗体(10~15nm)をレセプターとしては利用できないという問題点があったが、本研究ではフラグメント抗体を用いることで解決を試みた。フラグメント抗体とは抗体の抗原と結合する部分のことを言い、抗体を酵素で分解することで得られるものであり、大きさは3皿程度であることから、デバイ長内で抗原抗体反応が起きることが予想される。フラグメント抗体をグラフェン上に固定化するために、1-ピレンブタン酸スクシンイミジルエステルという物質をリンカーとして用いた。この物質はピレン基がグラフェン上にπ相互作用によって強く結合し、スクシンイミドの部分がフラグメント抗体のアミノ基と反応する。このリンカーを用いることで、グラフェン上に欠陥を生じることなくフラグメント抗体を固定化することに成功した。この固定化はグラフェン電界効果トランジスタの伝達特性の変化からも確認された。その際、ほとんど伝達特性に劣化が見られないことから、本研究で用いた固定化方法は欠陥を生じさせず、結果移動度の減少が見られない優れた方法であることが分かった。最後に抗原を投入するとその濃度に応じた電流の変化が観測され、抗原抗体反応を検出できていることが分かった。 また、カリウムイオノフォアであるバリノマイシンを含んだ塩化ビニル膜をグラフェン上に成膜し、カリウムイオンの選択的検出に成功した。 本研究課題遂行により、グラフェン電界効果トランジスタが高感度バイオセンサとして期待できることを示すことができた。また、上記の結果は学術雑誌論文、国際会議上で発表を行い広く研究者・企業開発担当者に向けた報告を行った。
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Research Products
(6 results)