2011 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの変形による結晶構造変化及び電子構造変化のメカニズム解明
Project/Area Number |
22760543
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河邉 英司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任研究員 (90514430)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 温度計測 / 熱解析 / 電気伝導 / 層間伝導 / フォノン散乱 / 欠陥 / 熱伝導方程式 |
Research Abstract |
(1)変形による結晶構造変化 ・直線状カーボンナノチューブに弾性曲げ座屈を与え、通電加熱すると塑性曲げ変形が起こる。その変形反応の活性化エネルギーは5.4-6.9eVと見積もられていう。しかし、塑性曲げナノチューブに対して同様の方法でさらに塑性曲げ変形させた場合の反応の活性化エネルギーは4.8eVと見積もられ、活性化エネルギーの低下が見られた。これは、炭素の6員環構造に欠陥がある方が結合切り替えを起こしやすいことに起因していると考えられる。つまり、塑性曲げ部に構造欠陥(5-7欠陥等)が存在することで、塑性変形時の炭素間結合の切り替えに必要なエネルギーが低下したと考えられる。 (2)変形による電子構造変化 ・直線状ナノチューブに弾性曲げを与えた状態で通電加熱すると塑性曲げ変形し、加熱時間と共に曲げ角度が増大していく一方で、電流値の減少が見られた。塑性曲げの曲率と電流値の変化を比較すると、曲率の増加とともに電流値が減少した。この原因としては以下の3つが考えられる。1)塑性曲げ部に電子散乱の要因となる構造欠陥が導入されるため、2)曲げによるsp3-likeな結合形成、3)σ-π混成。 ・塑性変形過程においては直径変更を伴う場合があり、直径変化による電気的特性変化のメカニズムを調べる必要がある。様々な直径の多層ナノチューブの電気抵抗を調べたところ、直径が大きいナノチューブ程、電気抵抗が小さいことが分かった。抵抗伝送線路解析により、1)直径に依存した層間伝導度と層内抵抗により全体の抵抗値が決定される、2)直径が大きい程、層間伝導度は大きい、3)直径が大きい程、層内抵抗が小さいことが分かった。
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