2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧電子線トモグラフィによる亀裂先端の立体構造解析
Project/Area Number |
22760544
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 將己 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (40452809)
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Keywords | 転位 / トモグラフィ |
Research Abstract |
本研究は加速電圧が200kVである電子顕微鏡を用いて実績のあるトモグラフィと厚い試料での観察が可能な超高圧電子顕微鏡(HVEM)による観察法を融合させた「超高圧電子線トモグラフィ」により,亀裂先端転位の立体構造を解析し,亀裂近傍での転位増殖過程を解明する事を目的としている.本年度は,超高圧電顕を用いたトモグラフ観察を行うためにモデル材料としてシリコン単結晶を用いたじ.従来,回折コントラストを使った結晶性材料中の転位トモグラフ観察は困難と言われていたが,回折ベクトルが試料回転中に常に一定になるように回折ベクトルを試料の回転軸と一致させることでそれを可能とした.電子顕微鏡内で試料を±60度程度2度ごとに回転させ,亀裂先端近傍に発生した発生初期転位の連続傾斜観察を行った.得られた連続傾斜像から観察された転位をバックプロジェクション法によりコンピュータ上で再構成させた.その像を元に転位が活動したたり面を特定するともに,転位の消滅実験,コントラスト実験からそれら転位のバーガースベクトルの符号まで詳細に決定した.その結果,それら亀裂先端から発生した転位は,発生時に乗っていた{111}面から亀裂側面で別の{111}面へ交叉たりを起こしていることが明らかとなった.亀裂を含まない均一材中の転位と異なり,亀裂先端では転位密度が低いにも拘わらず頻繁に交叉辷りを起こしていることが明らかとなった.これは,亀裂先端近傍は単純な一軸応力ではなく,複雑な多軸応力になっていることに起因すると考えられる.
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Research Products
(12 results)