2011 Fiscal Year Annual Research Report
有害相の動的析出機構解明に基づく耐熱材料の高信頼化
Project/Area Number |
22760547
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
澤田 浩太 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, 主任研究員 (00354225)
|
Keywords | 改良9Cr-1Mo鋼 / 長時間クリープ / 長時間強度低下 / Z相 / MX炭窒化物 |
Research Abstract |
平成23年度は,高強度フェライト耐熱鋼のうち,改良9Cr-1Mo鋼(ASME Gr.91)のクリープ中断試験片(600℃)ねじ部の組織調査を実施し,組織変化に及ぼす応力あるいはひずみの効果を検討した。併せて高温硬さによる材質劣化評価の可能性についても検討した。クリープ中断材ねじ部(応力無負荷部)では,クリープ時間の増加に伴いZ相の析出数密度は増加したが,約3万時間以降では,その増加は極僅かであった。前年度に調査したクリープ中断材平行部(応力負荷部)ではZ相の数密度がクリープ時間の増加に伴い単調に増加したことから,応力あるいはひずみがZ相の析出を促進することが分かった。(実際,約8万時間で,ねじ部におけるZ相数密度は,平行部の約1/3程度であった)MXの数密度は,平行部では約3万時間以降,ねじ部では約5万時間以降でクリープ時間の増加に伴い減少し始めた。約8万時間では,平行部におけるMX数密度は,ねじ部に比べて約1/7に低下していた。このことは,応力あるいはひずみによりZ相の析出が促進した結果,MXの消費が促進されたことを意味する。実機プラントにおける部材では,負荷される応力レベルが部位によって異なるが,応力が高い部位ほどZ相の析出およびMXの消失が促進される可能性が高いため,応力が高い部位では材質劣化評価の指標としてZ相析出の数密度が使用できる可能性がある。クリープ中断材ねじ部を利用して,600℃における硬さ試験を実施したところ,高温硬さはクリープ時間の増加に伴い単調に減少し,約5万時間以降はあまり変化しなかった。ねじ部において,強化相であるMXの数密度は長時間域で低下するため,高温硬さの変化とは対応していない。高温硬さには,析出物以外の転位組織も影響を及ぼすため,今後詳細な検討をする必要がある。
|
Research Products
(1 results)