2011 Fiscal Year Annual Research Report
航空機チタン合金のマルテンサイト組織・相変態による新しい結晶粒微細化機構の解明
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22760551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 洋明 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40372312)
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Keywords | 航空機Ti合金 / マルテンサイト / 相分解 / 組織制御 |
Research Abstract |
目的:航空機用Ti合金(Ti-10V-2Fe-3Al)のマルテンサイトの組織変化に及ぼす(冷間加工(低加工率)、熱間加工の影響を評価 溶体化焼入れ処理を施したβ単相のTi-10V-2Fe-3Al合金を20%の圧延率で応力誘起α"マルテンサイト変態させて、微細なマルテンサイト組織を得た。その後、300℃の熱処理ではβへの逆変態が進行するが、α"が残存したままで、転位欠陥を多く含んだ微細な針状(α"+β)組織を示していた。550℃の熱処理では逆変態が完全に進行し、拡散変態も起き、粒状のα相が針状β組織から析出した形態を示していた。更に300℃、550℃、どちらの熱処理温度ともに時効後、著しい硬さ増加が観察された。また、熱間加工において、マルテンサイトを初期組織とすることはできなかったが、熱間加工において、1000℃、1100℃のβ単相域でひずみ速度が1s^<-1>以上の加工でathermalマルテンサイト変態が著しく促進されることが分かった。これは、加工で導入される転位密度が加工速度1s^<-1>以上で10^<15>m^<-2>のオーダーを超えたためと考えられる。つまり、Ti-10V-2Fe-3Al合金のβとα"の自由エネルギーを考慮すると、この10^<15>m^<-2>オーダーでの転位の自己エネルギーがβの自由エネルギーに加算されると、マルテンサイト変態開始温度が室温以上になり、そのために熱間での高速変形下でα"マルテンサイト変態が活発に起きたと考えられる。Ti-10V-2Fe-3Al合金はnear βな組成の合金であり、室温でマルテンサイト変態を出現させるには冷間加工を利用する必要があったが、上記の結果から熱間でも加工条件(高速変形下)を最適化することでathermalマルテンサイト変態を促進させることが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織変化および機械的特性に及ぼす加工-熱処理の影響について系統的に評価することができた。一方で観察された著しい硬化現象について、詳細に解明することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、Ti-10V-2Fe-3Al合金、Ti-6Al-4V合金について、評価し、計画では、24年度はTi-6Al-6V-2Sn合金、Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo合金を行う予定であるが、冷間加工後の微細組織の熱処理過程の微細分解過程についてより詳細に評価・解析する必要があり、24年度はこれまでのTi-10V-2Fe-3Al合金およびTi-6Al-4V合金について更に詳細に評価しながら、テーマの発散を防止するために、新たな合金系としてTi-6Al-6V-2Sn合金のみを選定する。 以上から、航空機チタン合金のマルテンサイト組織変化に及ぼす加工の影響について、特に冷間加工の影響を詳細に評価する。
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Research Products
(1 results)