2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラス成膜の最適化と高性能MEMSデバイスへの展開
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22760552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳 延輝 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (70506469)
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Keywords | 金属ガラス / 薄膜 / MEMS |
Research Abstract |
本研究では、金属ガラス薄膜と基板との界面構造と結合強度の評価を目的としている。金属ガラスで作製されたMEMSデバイスの性能と信頼性を評価することは、次世代のMEMSデバイスを開発する上で重要である。 申請した研究内容に基づき、今年度は材料作製とその微細構造と機械的特性評価を主に焦点を当てた。X線回折による構造評価と透過電子顕微鏡を行ったところ、作製した薄膜はすべてのスパッタ条件において完全なアモルファス構造であった。 構造解析に加えて、熱特性評価試験をおこなった。金属薄膜は予想されていたとおり、ガラス状態であった。しかしながら、通常の急冷リボン材やバルクガラスとは異なり、結晶化ピークが小さい現象が観察された。理由は、リボンやバルク材の急冷速度よりも薄膜試料がかなり早くに急冷されたからだと考えられる。これによって、高い自由体積が薄膜中にトラップされたと考えられる。多くの自由体積のため、原子は局所的・広範囲的に拡散するための体積があり、このため結晶化のエネルギー障壁が減少したと考えられる。 薄膜の表面形態は、走査顕微鏡と原子間力顕微鏡によって解析した。一定の薄膜作製条件下において、薄膜がきわめて平滑になっており、表面粗さは1nm以下であった。平滑な表面は、薄膜の局所的な構造評価をする上で重要である。原子間力顕微鏡でさらに評価をしたところ、多くのガラスモデルで予想されていたように、密な部分と粗な部分とで構成されていることがわかった。局所的な機械特性評価によって、不均一構造は不均一な粘弾性に由来することがわかった。エネルギーの散逸は大きく見積もっても12%程度であった。これらの結果は、信頼性のあるMEMSデバイスを作る上で基本的な物性データになると考えられる。
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Research Products
(1 results)