2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760553
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
仁野 章弘 秋田大学, 工学資源学研究科, 助教 (80451649)
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Keywords | 炭化タングステン / 焼結 / バインダーレス / 硬度 / 機械的性質 / 微細組織 |
Research Abstract |
優れた機械的性質をもつバインダーレス超硬合金を作製するためには、最も単純な系であるバインダーレスWCにおいて、機械的性質と関係する粒成長の支配因子を明らかにする必要がある。WC粉末にCを添加し、通電加圧焼結法により試料を作製し、構成相の変化を調べた。C添加量が0.2mass%まではWCとW_2C相が確認されたが、0.25mass%CではWC単相となった。これ以上C添加量を増加するとCが残留した。C添加量が0.4mass%までは相対密度は99%以上の緻密な焼結体が得られた。これ以上のC添加量では相対密度は低下した。0.25mass%CまではC添加により、ヤング率は増加し、0.25mass%Cで最大となり、これ以上の添加量で減少した。このヤング率の変化は、焼結体の構成相に関与していると考えられる。硬さは、0.2mass%C添加までは、ほぼ一定であり、0.25mass%C添加で急激に低下した。さらにCを添加すると硬さはわずかに増加した。EPMAによる組織写真から結晶粒径の変化を調べたところ、0.2mass%C添加までは、結晶粒径は微細で、ほぼ一定であったが、0.25mass%C添加で急激に増加した。これ以上のC添加では、結晶粒径は減少した。従って、W_2C相残留の場合、微細粒組織を形成し、C添加でWC単相になると大きく粒成長することがわかった。バインダーレスWCにおいては少量のW_2C相の存在が粒成長抑制の支配因子であると考えられる。TEMによる組織観察において、W_2C残留試料では、W_2C粒の存在が確認され、WC粒界にはW_2C析出物は確認されなかった。一方、WC単相の試料でもWC粒界に析出物は確認されなかった。粒状のW_2Cの存在が粒成長を抑制していると考えられる。すなわち、炭素を少量添加し、W_2Cを残留させることが機械的性質に効果的であることがわかった。
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Research Products
(2 results)