2010 Fiscal Year Annual Research Report
荷重振動鍛造の金型弾性回復による自動再潤滑のメカニズム解明及び薄肉部品への適用
Project/Area Number |
22760555
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
前野 智美 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80505397)
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Keywords | 板鍛造 / 荷重振動 / サーボプレス / 最潤滑 / 摩擦 |
Research Abstract |
摩擦の影響によって成形荷重が著しく大きくなる板鍛造の成形荷重を低減するために,成形中の荷重を振動させて金型の弾性回復を利用して潤滑剤を自動的に再潤滑させる荷重振動鍛造を開発した.板厚2mmのA5052アルミニウム合金板を荷重の75%を4回除荷する荷重振動ありと荷重振動なしで圧縮した結果,同じ圧縮率を得るために必要な最大荷重は荷重振動なしの50%となり成形荷重を大きく低減し,板鍛造において成形荷重を大きく低減できる事を示した. 荷重振動による成形荷重のメカニズムを解明するために有限要素解析によって成形中の板材と金型の変形挙動を調べた.圧縮時荷重によって金型は凹形状に弾性変形し,板材は凸形状に塑性変形をした.荷重振動の除荷によって金型は大きく弾性回復するが板材の弾性回復量は小さく回復量の差によって板材外周部ですき間の発生が示された.このすき間に潤滑材が浸入して板材が自動的に最潤滑される事が有限要素解析によって予測された.最潤滑を実験においても確かめるために潤滑材を腐食液に置き換えて板材を腐食させた.荷重振動の除荷を行う前に潤滑材を洗浄して腐食液を周囲に注入してから除荷した.荷重振動の除荷率を増加とともに板材外周部での腐食領域が大きくなり,荷重振動で板材が自動的に最潤滑されていることが実験的に示された. 圧縮荷重からスラブ法によって摩擦係数を逆算した結果,荷重振動なしでは表面積の拡大とともに潤滑性能が低下して摩擦係数が単調に増加して0.17近くになるが,荷重振動ありでは最潤滑されるため摩擦係数が0.1を超えなかった. 荷重振動鍛造を実生産においても応用できるかを検討するために機械式サーボプレスを用いて同様の圧縮を行った.サーボプレスの場合においても荷重振動ありは最大成形荷重を40%程度低減することができた.荷重振動鍛造が実際の生産においても有効であることが示された.
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