2011 Fiscal Year Annual Research Report
高純度アルミニウムの巨大ひずみ加工に伴う超微細粒組織形成に及ぼす微量元素の影響
Project/Area Number |
22760556
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮嶋 陽司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (80506254)
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Keywords | 超微細粒金属 / 巨大ひずみ加工 / アルミニウム / STEM / 電気抵抗率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、巨大ひずみ加工により得られる粒径0.1μm程度の超微細粒金属組織形成過程に対して、出発材中の微量元素が及ぼす影響を詳細に理解することである。高純度アルミニウムに添加する微量元素として、Alに対して原子半径が大きいMgと小さいSiを選択し、3種類の組成(1%,0.1%,0.01%)を持つ高純度二元系Al合金を作製した.この高純度二元系Al合金に対して適切な熱処理を加えて水冷する事で合金元素を固溶させた後、巨大ひずみ加工としてARB法を8サイクルまで適用し超微細粒金属を作製した。これらの試料は、加工後液体窒素中で保存することで合金元素の析出を防いだ。 得られたARB各サイクル材は、FE-SEM/EBSDとTEM/STEMを用いた組織観察と共に、高精度電気抵抗率測定も行われた。また、一軸引張試験を用いて力学特性の測定も行った。これらの組織観察と測定より、高純度二元系Al合金の巨大ひずみ加工による超微細粒金属組織形成過程の格子欠陥の情報を得る事ができた。その結果、AlにMgとSiを合金元素として固溶させた場合の,組織形成過程に対する合金元素の影響を明らかにすることが出来た。更に、STEM/EDSやSTEM/EELSを用いた粒界付近の測定結果より、超微細粒金属中では、Mgは粒界に偏析しにくいのに対してSiは粒界に偏析している可能性が示唆された。 これらの結果は、現在使用されている工業用汎用合金とは全く異なる、超微細粒形成を前提としたアルミニウム合金の作製、実用化へ向けた基礎的データとして利用することができる。
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