2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光利用その場観察法に基づく溶接凝固予測シミュレーションモデルの構築
Project/Area Number |
22760559
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺崎 秀紀 大阪大学, 接合科学研究所, 講師 (20423080)
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Keywords | 溶接凝固 / その場観察 |
Research Abstract |
1,フェイズフィールドモデルを多相系モデルの枠組みで構築した。相場変数を各相の局所分率で与え、自由エネルギー汎関数(静的項、動的項)を定義し、相場変数の時間発展方程式を濃度式とカップリングさせ解いた。 モデルポテンシャルの定義においては鉄、炭素2元系の化学エネルギーを相変態の駆動力として利用した。来年度これら化学エネルギーデータの取得にあたっては、将来の多成分化を見据えて既存の熱力学データベースを使用したい。そのため、計算用PCと熱力学的データベース間のインターフェイスを導入する。 モデルの構築に当たってはまず、ポテンシャルの振る舞いが理解しやすい二相系から構築を初めて、多相系に拡張していく手順を踏んだ。溶接凝固の計算をするにあたっては核生成機構を計算モデル内で考慮する必要があった。この課題に対して、核生成頻度を変態駆動力で計算し、確率分布を再現させる数値計算方法(von Neumannの棄却法)により相場を二次元分布させ、生成核とする方法を採用した。 2,放射光を用いた溶接凝固専用のその場観察システムを設計・制作した。溶接凝固の起点となる未溶融部と溶融部の境界に高輝度X線を照射し(測定領域の特定)時分割X線回折測定できるシステムを制作し、放射光施設の回折計との組み合わせの確認を終えた。平成23年度に実施する放射光実験で使用する。測定領域の特定方法も考案した。 さらに回折リングのほぼ全象限を観察するために大面積検出器を導入する準備を行った。これにより、凝固相の時系列変化の追跡と結晶面の平行関係の確認が可能となる。ピクセル検出器(2M-Pilatus)を平成23年度に実施する放射光実験で使用する。
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