2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射光利用その場観察法に基づく溶接凝固予測シミュレーションモデルの構築
Project/Area Number |
22760559
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺崎 秀紀 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (20423080)
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Keywords | 溶接凝固 / ストレイ結晶 |
Research Abstract |
放射光を用いた溶接凝固過程のその場観察システムを確立した。まず高輝度X線の照射位置を空間分解能0.5平方ミリメートルで設定できるようにした。次に照射位置における溶接中の熱サイクルを測定するために、消耗式光ファイバを利用した温度測定方法を確立し、溶融池から凝固過程、固相変態過程にいたる冷却中の熱サイクルを取得した。さらに、大面積エリアディテクターを観察システムに導入し、一方向凝固し、少ない結晶数となる凝固初期過程のX線回折データの取得技術を確立した。また、導入ディテクターの観察に適した特性(暗電流が無い、高ダイナミックレンジ)を活かして、X線照射範囲内の液相、つまり溶融池、の凝固過程における減少も追跡できることを示した。ステンレス鋼TIG溶接時の観察例を具体的に示すと、凝固が開始してエピタキシャル成長が起こり、やや液相量が減少する。このときの温度は平衡状態図から予想される1470℃とぼぼ同じであった。このエピタキシャル成長する初晶の優先成長方向[001]と入射ビーム方向に対応して、方位角69。、118。で大面積エリアディテクターに回折スポットが記録された。さらに、1450℃で011反射が方位角62°で観察され、液相の大幅な減少が始まった。液相がなくなるために必要な冷却温度は59℃と測定された。また、この液相の減少過程が時系列に回折パターンとして記録された。これは溶接線に沿って[001]方向を持つストレイ結晶による凝固過程の進行である。このときの冷却速度はおよそ、295℃/sであると見積もられた。これら凝固過程の回折パターンを、エリアディテクター像、2θ-強度表示、方位角-Q表示により時間分解能0.1sで多次元解析できる手法を確立し、これら成果を査読付き学術論文として発表した。さらにこれら実験取得データにより、前年度構築した多相系フェイズフィールドモデルのパラメータを調整した。
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