2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760560
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田代 真一 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (70432424)
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Keywords | 溶接ヒューム / ナノ粒子 / アーク溶接 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
溶接ヒュームとは、アーク溶接中の溶融池や溶接ワイヤー等から生じる金属蒸気から発生する、ナノ~マイクロメーターサイズの微粒子であり、これを溶接作業者が吸入し続けた場合、じん肺やパーキンソン病等の深刻な健康被害を生じる事が従来より指摘されている。本課題では、実験と数値シミュレーションの両面から、金属蒸気成分やシールドガスの反応性が溶接ヒュームの生成機構に及ぼす影響を解明すると共に、吸入時に人体への危険度が特に高い微小粒子の含有率を低下させ、更に防じんマスクでの捕集率も向上させる為の粒子径・粒子形状の制御技術を開発する。 平成22年度は、シールドガスの反応性や冷却速度が溶接ヒューム特性に及ぼす影響を調査するための実験装置を開発した。本装置は、直流電源、ガスボンベ、粉体微量供給機、陰極部、陽極部、温度測定装置(プラズマ分光器および熱電対)、溶接ヒューム捕集用フィルタから構成される。また、数値シミュレーションモデルを開発し、これを用いた基礎的検討も併せて実施した。上述の検討を行うためには、溶接ヒューム(微粒子)表面での化学反応が重要となるため、その表面温度を正確に求める必要がある。数値シミュレーションを実施した結果、主に放射損失の影響により、溶接ヒュームの表面温度は、周囲の金属蒸気やシールドガスの温度と比較して、大幅に低下することが明らかとなった。 平成23年度は、本年度開発した実験装置ならびに数値シミュレーションモデルを用いて、金属蒸気成分やシールドガスの反応性が溶接ヒュームの生成機構に及ぼす影響を解明すると共に、吸入時に人体への危険度が特に高い微小粒子の含有率を低下させ、更に防じんマスクでの捕集率も向上させる為の粒子径・粒子形状の制御技術を開発する。
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