2011 Fiscal Year Annual Research Report
超音速フリージェットPVDによるナノ結晶軟磁性Fe基膜の形成
Project/Area Number |
22760565
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯本 敦史 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (20383987)
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Keywords | 磁性 / ナノ材料 / コーティング / 超音速ガス流 |
Research Abstract |
超音速フリージェットPVDは,生成直後の活性なナノ粒子を,5km/s以上の超音速ガス流により加速させ,基材にナノ粒子を堆積させ成膜する新しいコーティング技術である,本研究は,超音速ブリージェットPVDによりナノ結晶Fe膜を形成し成膜条件が及ぼす膜組織及び磁気特性への影響を評価検討することを目的とした. 本法では基材にナノ粒子を吹き付け・堆積させる際のナノ粒子の速度及び加速度が膜組織に及ぼす支配要因の一つである.ナノ粒子に付与する速度・加速度は,超音速ガス流を生み出す超音速ノズル(先細末広がりノズル)の形状によって決まる.本研究では,圧縮性流体力学の各種理論を用いてノズルの入口から末広がり終端部までの長さを統一した形状の異なる4本の超音速ノズルを用いて膜形成を試みた. 超音速フリージェットPVDによりFe膜を成膜し,膜組織と結晶構造,磁気特性及び密着性を評価した結果,全成膜条件において,Fe膜は等軸α相で球形に近い結晶粒を呈し,緻密で欠陥の無い皮膜であることが確認でき,結晶粒径は~16nm程度のナノ結晶Fe膜であることが観察された.Al基板との密着性に顕著な差異が無いことが確認された.また,磁気特性は成膜条件により保磁力Hcの値に差異が生じることが確認され,本研究において最も優れた軟磁気特性示した条件はマッハ数単調増加ノズルを用いて成膜したFe膜でHc=32.6A/m,飽和磁束密度Bsは2.2Tであり,優れた軟磁気特性を有することを明らかとした.本研究の成果により,本法によるFe膜の磁性特性,特にHcを決定する支配要因は結晶粒径・粒形状であること,本法で用いるノズルの形状によって生じる僅かな結晶粒径の差異が皮膜のHcに大きな影響を及ぼすことを明らかとした.
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Research Products
(6 results)