2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高速・高品質SiC単結晶の溶液成長プロセスにおけるマランゴニ対流の発生因子
Project/Area Number |
22760576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 健 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (90435933)
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Keywords | シリコンカーバイド / 溶液成長 / マランゴニ対流 / Fe-Si溶媒 / 表面張力 / 表面活性 |
Research Abstract |
本研究では、Fe-Si合金溶媒を用いた大型SiC単結晶のFZ低温・超高速成長技術の開発へ向け、溶液成長環境で発生するマランゴニ対流の発生因子を解明するため、Fe-Si-C系合金溶媒の表面張力の高精度測定を行い、その組成、温度依存性の定量評価を行うことを目的としている。本年度は、高温の合金溶液の表面張力の高精度測定手法を確立するため、以下の検討を実施した。 (1)既設の液滴観察装置を用いて、予備実験として、静滴法と大滴法を用いて溶融Ag液滴の表面張力の測定を実施した。その結果、主に液滴画像の解析誤差により、表面張力の測定結果が10%程度の偏差を示した。また、好適な液滴形状の保持にも問題を生じたため、合金溶液の表面張力の高精度測定を行ううえで、測定方法を見直す必要性が明らかとなった。 (2)(1)で述べた結果を踏まえ、最大泡圧法による表面張力の測定を採用した。ステッピングモーターユニットによる毛細管の精密上下動、差圧電送機システムならびにガスの精密流量制御機構を敷設し、表面張力の精密測定環境を構築した。本装置を用いて溶融Agの表面張力の測定を実施し、偏差2%未満での測定結果が得られている。また、Fe-Si-C合金の表面張力の測定も成功している。現在は、アルミナ毛細管の先端形状の精確な加工法を検討中であり、より高精度な測定技術の確立を目指している。 以上より、高温下合金溶液の表面張力の高精度測定環境の構築をほぼ完了した状況に有り、今後、Fe-Si-C系合金溶媒の表面張力の組成、温度依存性の調査を行う予定である。
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