2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高速・高品質SiC単結晶の溶液成長プロセスにおけるマランゴニ対流の発生因子
Project/Area Number |
22760576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 健 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (90435933)
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Keywords | マランゴニ対流 / Fe-Si溶媒 / 表面張力 / 温度係数 / FZ成長 |
Research Abstract |
本研究ではFe-Si溶媒を用いたシリコンカーバイドのFZ溶液成長において、著しい温度勾配印加により発生するマランゴニ対流の発生因子を解明することを目的とし、Fe-Si-C系溶融合金の表面張力を1250~1450℃にて測定した。 表面張力測定を行うために昨年度に新たに作製した最大泡圧法実験装置の昇降装置に改良を加えて高さ精度を向上するとともにアルミナキャピラリー作製手法を最適化することで、溶融合金の表面張力の1%の誤差での測定を可能にした。次いで、Fe-Si合金の表面張力の測定を行い、表面張力の温度係数の組成依存性を決定し、またButlerの式による予測との比較的良い一致を確認した。次いで、炭素飽和あるいはSiC飽和のFe-Si-C合金の表面張力の測定を行い、三元合金の表面張力の温度係数を決定した。その結果、炭素の溶解による表面張力の減少傾向は見られず、三元合金の表面張力はFe問Si合金の表面張力とほぼ同程度となった。よって、研究の端緒であったBeltonにより提唱された「SiCの表面会合による表面活性作用(MetallurgicalTransactions,1972)」は少なくとも認められず、炭素濃度依存性は無視しうるものと考えられる。 以上より、Fe-Si溶媒を用いたシリコンカーバイドのFZ溶液成長環境において重要な表面物性値を取得しており、同環境においては温度差マランゴニ対流が主として生じていることが推定された。得られた物性値は溶媒内での流動シミュレーションに不可欠であり、今後結晶育成モデルに活用して溶液成長環境の最適化を目指す。
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